痛くない針なし注射器の開発に成功

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2014年12月07日 17:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

12月2日、芝浦工業大学は、気泡の圧力を利用した新しい針なし注射器の開発に成功したことを発表した。

開発したのは同大学機械工学科の山西陽子准教授で、この針なし注射器を使えば、痛みを伴わずに試薬や遺伝子までも体内に届けることができるとしている。

高速発射気泡を利用した注射とは

実は針なし注射器というだけであれば、既に存在していた。しかし従来の針なし注射器はバネの力を利用して高圧で液体を発射する方式であったため、皮膚を貫く際に痛みを伴い、神経を傷つけるリスクもあった。

また、細胞手術などで使われるマイクロデバイスの主流である電気メスも、細胞壁を切開する際に高周波の強力な電気を当てるために、細胞に熱ダメージを与えてしまう欠点があった。しかもこれらのデバイスの操作には、高度な熟練が必要だったのだ。

そこで山西准教授は2012年に、「マイクロバブルインジェクションメス」を開発した。

これは液体中で電圧をかけることで、マイクロレベルの気泡を高速発射し、その力で細胞を切開すると同時に、試薬や遺伝子を輸送することができるという技術だった。

そして今回、この「マイクロバブルインジェクションメス」を空気中でも利用できるように開発されたのが、針なし注射器だった。

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開発された針なし注射器では、メスを覆うガラス製のシェルの位置を前方に突き出したことで、細胞と気泡導入部を密着させることにした。

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その結果、薬が外部へ漏れたり薄まったりせずに、十分な液量を高い精度の位置制御を行いながら体内に送り込むことができるようになった。

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つまり、熟練度が低くい医師でも安全に目的の場所に注射できるのだ(だからといって熟練度が低くても構わないわけではないが)。

そして何よりの朗報は、痛みが伴わないということだった。そして穿孔径は4μmとマイクロレベルであるため、細胞へのダメージも小さいという。

さらなる改良を目指して

今回開発された高速発射気泡を利用した針なし注射器は、植物細胞も含む様々な堅さの細胞に対して、遺伝子や薬を送り込むことができる。

そのため、様々な治療や実験への利用が可能となる。そこでさらなるデバイス構造の最適化を行うために、企業との連携も視野に入れて実用化を目指すという。

この注射器を我々が目にすることは当面無いとは思うが、この様なデバイスの進化が、様々な分野の研究を加速させる可能性があり、思わぬところで恩恵を受けていることになるのだと思う。

*画像出典:高速発射気泡による「針なし注射器」の開発に成功〜マイクロレベルの気泡で高精度の試薬輸送を実現〜 | 芝浦工業大学

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