ヤモリが宇宙を救う!? スペースデブリ(宇宙ゴミ)回収の新技術

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2015年01月01日 21:40  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

2014年11月、ISS(国際宇宙ステーション)にスペースデブリ(宇宙ゴミ)が衝突するおそれが生じ、ドッキングしていたESA(欧州宇宙機関)の宇宙船のスラスターを作動させて回避させたという報道があった。

映画『ゼロ・グラビティ』を観た方ならご存じだろうが、軌道上に散乱しているスペースデブリは宇宙開発において大きな問題となっている。

使用済みの衛星やその破片、分離物などであるスペースデブリは、誰かが回収しないかぎり、長期間にわたって軌道上を周回し続ける。それが稼働中の人工衛星や宇宙ステーションに衝突すると重大な事故になりかねないのだ。

そこで、NASAのジェット推進研究所『Jet Propulsion Laboratory』では、スペースデブリを回収することを検討している。

しかし、どうやって散乱しているスペースデブリをキャッチし、回収するのだろうか? そこで今回は、“ヤモリ”の足にヒントを得た機構を紹介する。

細かい毛の列が吸着力のカギ

『Jet Propulsion Laboratory』が開発を進めているのは、“ヤモリ式つかみ器”という、文字通りヤモリの足にヒントを得た機構だ。飛行機を使ったテストのプログラムのひとつに選ばれ、研究者がC-9B輸送機での放物線飛行において微少重力下での実験を行った。

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ヤモリの足は枝分かれした細かい毛の列を持っている。細いものになると、人間の髪の毛の数百分の一の細さだという。その細かい毛を使った器官が、大きな力を必要とせずに粗い表面に吸着することができる理由だとそうだ。

このヤモリのような細かい毛を使った機構を、つかみ器の吸着パッドに使用。合成毛はクサビ型をしていて、傾いたキノコ型の帽子を持ったような形状になっている。吸着パッドが物体に接触したときには、その毛の先端のみが対象物の表面に触れることになる。

つかみ器の吸着性は、毛をどちらの方向に引っ張るかで、つかんだり離したりを容易に切り替えられるという。

毛が傾く方向に力を加えればより強力にくっつくようになり、力をゆるめて毛が起きるようにすれば吸着性は弱まる。ファンデルワールス力と呼ばれるこの現象は、過酷な温度や圧力、あるいは放射線のもとでも使えるというメリットがある。

ロボットアームの先端に装着を想定

研究者のParness氏によれば、この装置は回転している物体などにも有効だという。下の動画でも見ることができるが、実験では宇宙船のパネルの素材を胸につけた人(113kg相当)をつかむことにも成功している。

現在は人間がこのヤモリ式つかみ器を持って実験を行っているが、いずれはロボットアームの先などに装着することを想定している。


動画を別画面で再生する

やがては、このヤモリ式つかみ器を搭載したロボットがスペースデブリを回収することになるかもしれない。

また、最近のロボット工学では、生き物にヒントを得た機構が急速な発展を遂げている。生物をより知ることは、ロボットの発展においても重要な要素なのだろう。

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