岩松了の岸田賞戯曲『蒲団と達磨』をサンプル松井周が演出、イラストはいがらしみきお

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2015年01月29日 20:00  CINRA.NET

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サンプル『蒲団と達磨』イメージビジュアル ©いがらしみきお
サンプルの舞台『蒲団と達磨』が3月6日から神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演される。

『蒲団と達磨』は、岩松了が1989年に『岸田國士戯曲賞』を受賞した作品。サンプルの主宰を務める松井周が演出を手掛ける今回の公演では、夫婦の寝室を舞台に言外に潜む危ういそれぞれの秘密や我慢、爆発寸前の性欲が濃厚に描かれる。

キャストには、サンプルのメンバーに加え、大石将弘(ままごと、ナイロン100℃)、三浦直之(ロロ)、田中美希恵(範宙遊泳)らが名を連ねている。なお、宣伝イラストは『ぼのぼの』『かむろば村へ』など作品で知られる漫画家のいがらしみきおが担当している。チケットの一般発売は1月31日からスタート。

■岩松了のコメント
松井周は成長期の男の子のようで、しゃべる時その表情のどこかに「この人、わかってくれてるだろうか?」という不安をかかえている、だからいっぱいしゃべる、いや、いっぱいしゃべってるように感じる。たぶんふところの深い女が抱え込むために生まれてきた男だ。「大丈夫、ほら、大丈夫だよ」と女は言うのだ。その寝顔は女に多大なる満足を与えるはず。
『蒲団と達磨』は、私が36歳の時書いた戯曲だ。「わかってもらえるだろうか」という表情を私もしていたかもしれない。忘れもしない、この戯曲を私はほぼ三軒茶屋の三軒の喫茶店で書いた。喫茶店を移る時、茶沢通りを歩いて気持ちを新たにした。そして、5時から9時の閉店までいた三軒目喫茶店、何日目かに私はその店のマスターに、今日限りにしてくれ、と言われたのだ。タバコを山のように喫って、カリカリと大きな虫のように背中を丸め書き物をしている男が気持ち悪くなったのだろう。なにしろ、閉店間際には私とマスター二人きりになるのだ。私は平身低頭、二度とその喫茶店には行かなくなった。私の事情とは無縁のところで世間は動いていた。これは、喜劇か?悲劇か?
わかってもらえるはずはない、そう言い切りたいが、その本当は、この世では禁句。わかってくれる、そう思う限り、この世は嘘さ。そしてその嘘をしあわせと感じる。ふところの深い女の多大なる嘘。
私たちは、嘘の中で眠っている……。
松井くん!頑張ろうね!
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