【アニメキャラの魅力】穏やかな中に熱い気持ちを隠し続ける大人の男「多蕗桂樹」とは?『輪るピングドラム』

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2015年02月11日 09:30  キャラペディア

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(C)ikuni chowder pengroup(公式サイトより)
新作『ユリ熊嵐』も気になる、幾原邦彦監督の2011年の作品『輪るピングドラム』は、3人の子供だけでつつましく暮らす高倉兄弟妹を中心に、幼いころの心の傷や、とある事件で運命が変わってしまった人々を描く、愛と命について考えさせられる作品です。今回ご紹介する「多蕗桂樹(たぶきけいじゅ)」は、主人公の「高倉冠葉」「高倉晶馬」兄弟の高校の担任教師です。


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■先生がストーキングされていた!?

 多蕗の担当する生徒、高倉冠葉・晶馬の妹、陽毬が病死してしまいます。ところが、水族館で購入したペンギン帽子をかぶったとたん生き返り、エロチックな容姿のプリンセス・オブ・クリスタル(以下プリクリ様)に変身し、陽毬を取り戻すために荻野目苹果(おぎのめりんご)がもつという「ピングドラム」を探すように兄弟に指示します。

 指示通り、学校をさぼり苹果をストーキングする兄弟は、なんと、苹果が多蕗をストーキングしていることに気が付きます。床下に忍び込んだり盗聴したり侵入したりと、かなり本格的な犯罪者です。こんなにストーキングされていたのですが、なんと、ストーカーの苹果すら知らない彼女がおり、サクっと婚約、サクっと結婚します。

■桃果や苹果との関係

 なんと多蕗は、苹果の死んだ姉・桃果の幼馴染で、将来を約束した恋人でした。荻野目家にもいまだに出入りしており、毎月20日の月命日には、苹果と一緒に桃果の好物のカレーライスを食べています。

 多蕗はピアノの才能があり、子どものころから母親に厳しくしつけられていました。しかし、さらに才能がある弟が生まれたことで運命は動きます。音楽の才能しか認めず愛せない母、そして弟にいつか追い抜かれるという恐怖から、幼い多蕗は自ら手に怪我を負い、自らをピアノの弾けない体にしてしまいます。

 結果、こどもブロイラーという子捨て施設(この施設は比喩表現の可能性あり)に捨てられてしまいます。そこに、まるで戦隊ヒーロー的な行動力の桃果が現れます。逃げる気力もない多蕗に「必要としている人間のもとに帰るの。それが私」「私のために生きて」と言い切り、連れ出す桃果。「桃果さんは僕の子ども時代のすべてでした。運命だったんです」と後の多蕗が言うのも当然です。桃果亡きあとも多蕗は桃果を思い続け、同じく桃果を思い続ける「時籠ゆり」と婚約します。ストーカーの苹果が彼女の存在に気付かなかったのは、二人が恋人関係をすっ飛ばして、「知人」から急に「婚約者」になった、こんな事情があったからです。

■ブラック多蕗登場

 桃果が「大好き」と思うほど温厚で優しい多蕗は、愛する桃果が死んだあの事件の実行犯が高倉兄弟の両親だという事実を知っても、高倉兄弟を敵視するようなことはありませんでした。しかし、急に高倉家の人間すべてが憎くなってしまいます。

 誘拐した陽毬と引き換えに、冠葉に両親の呼び出しを要求するあたり、組織の残党(KIGA)と冠葉がつるんでいることに気が付いている様子。確実な描写ではありませんが、KIGAのリーダー「渡瀬眞悧」が証拠写真を多蕗に見せたと憶測されるシーンもあります。「関係ないと思っていたから許していたのに、オマエ仲間じゃないか!」と“だまされた感”を感じてしまったのではないでしょうか?

 陽毬を本気で助けたい冠葉と、自らを犠牲にしようとする陽毬、包み込む晶馬と、それを支えると覚悟した苹果。苹果に「僕のようになってはだめだ」と言う多蕗は、自分が間違っていたことを知っていました。しかし動かざるを得なかった。飄々とした多蕗の熱い面がみられた衝撃的な18話は必見です。


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【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】


★記者:藤原ユウ(キャラペディア公式ライター)

(C)ikuni chowder pengroup(公式サイトより)

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