日本で80万人が罹患する身近な難病!関節リウマチの最新治療とは

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2015年03月13日 12:10  QLife(キューライフ)

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関節リウマチ患者さんのQOL向上に向けた取り組み

東京女子医科大学附属膠原病 リウマチ痛風センター所長 山中 寿先生

 関節リウマチ(以下RA)の患者さんは日本に70〜80万人いるといわれています。RAは慢性の炎症性自己免疫疾患で、関節の痛みと腫れを伴い、疲労、身体機能低下、関節の変形、臓器障害が起こります。抗リウマチ薬や生物学的製剤が登場するまでは、痛みの緩和など症状に対する対処療法しかありませんでした。

 関節破壊の進行を抑制し寛解※導入も期待される生物学的製剤として世界で初めて認可された「エタネルセプト」(商品名エンブレル)が登場し、日本での販売開始から10年が経過。ファイザー株式会社は、エンブレルの日本発売10周年を機に、生物学的製剤の登場で大きく進歩したRA治療の10年を振り返るプレスセミナーを開催。東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター所長で、膠原病リウマチ内科教授の山中寿先生を招き、「関節リウマチ治療の最新動向」をテーマに講演が行われました。(※寛解:症状がほぼ完全に抑制され、病気の進行が防止できている状態。治癒ではない)

寛解の先を見据えたこれからのRA治療を考える

 RAは、全身の関節に慢性炎症が長く続く疾患です。進行性の関節破壊による運動機能障害や内臓障害が起こり、寿命にもかかわる全身疾患。日本の患者数は60万人以上と推定されており、社会的負担も大きい疾患です。

 東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センターで実施中のRA患者に対する前向き観察研究「IORRA」は、2000年に開始して以来6,000名の情報を集積しています。IORRAの研究データによると、2000年当時8%しか寛解導入に至る患者さんはいませんでしたが、現在は50%以上の患者さんが寛解に至っています。これは、抗リウマチ薬のメトトレキサートや生物学的製剤などの薬物治療の進歩と同時に、ガイドラインをはじめとした治療方針が明確になったことも大きな要因です。

 以前のRA治療は、症状を抑える対処療法でした。現在は関節炎をできるだけ速やかに鎮静化させ寛解導入し、それを長期間維持することを目標としています。しかし寛解は、症状がほぼ完全に抑制され、進行が防止されている状態で治癒ではありません。では寛解を維持するためには、薬を飲み続けなければならないのでしょうか。

 RA患者を対象とした、日韓による他施設共同・医師主導型臨床試験「ENCOURAGE」の報告によると、早期RA患者や中等度疾患活動性症例にエタネルセプトとメトトレキサートを1年間投与し、6か月以上の寛解を達成した症例では、エタネルセプトを中止しても約半数は1年間の寛解維持ができるという結果でした。

 「現在RA治療の目標は寛解導入とその維持ですが、寛解の先を見据えた治療がこれからは重要です。生物学的製剤投与の適応患者さんには、できるだけ早く使いできるだけ早期に寛解導入させることです。6か月以上の寛解が維持できれば、休薬も考慮できるかもしれません。再燃したら同じ生物学的製剤を再投与します。こうした柔軟な薬の使い方を模索するべきではないかと考えています」と山中先生は話されました。(QLife編集部)

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このニュースに関するつぶやき

  • 生物学的製剤は鬼高いってのは書いてくれないのね(^_^;)?そうでなくても月2万とかの薬代がかかってるってのに・・・
    • イイネ!9
    • コメント 3件

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