![](https://news-image.mixi.net/article/218/218_20150317_98661_002.jpg)
以前当サイトでチェーンを廃した自転車を紹介した。その自転車は伸縮式でコンパクトにできるものだったが、今回紹介する自転車は折り畳めるようにしたことで、よりコンパクトにできるというものだ。現在クラウドファンディングのサイト『KICKSTARTER』で資金を募集している。
前輪はモーター、後輪は人力
『JIVR Bike』と名づけられたこの自転車、電動と人力のハイブリッドだ。基本的にはモーターで走ることを想定しているようだが、バッテリー切れの際は人力で走れるようになっている。前輪のホイール内にモーターを搭載し、電動は前輪で、人力の場合は後輪で駆動するようになっている。
電動では時速25km、または32kmまで出すことができ、航続距離は約30kmとのことだ。
たしかにチェーンを廃した姿はシンプルで美しい。なんでも独自にチェーンレスの駆動機構を開発し、それをフレーム内に収めたということだが、詳細な説明はない。クラウドファンディングで資金を集めているくらいだからインチキではないだろうが、少々うさんくさい。
![JIVR_02](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/JIVR_02-690x391.jpg)
また、この自転車の機能はもりだくさんだ。スマートフォンを接続することができるため、移動距離や消費カロリーを見れたり、GPSナビゲーションを使えたりする。『iBeacon』にも対応していて、近くのスマートデバイスなどとやりとりができるようにもなっている。
|
|
コンパクトだが不安な折り畳み機構
そしてこの『JIVR Bike』の最大のセールスポイントは、折り畳んだときのコンパクトさだ。チェーン機構を廃したことにより、非常に小さく折り畳むことができ、オフィスでは自分の机の下に収納することもできるほどだという。
![JIVR_03](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/JIVR_03-690x622.jpg)
とはいえ、この折り畳み方式にはやや不安を感じる。メインフレームとリヤのサブフレームを、縦方向にスイングさせるように折り畳むのだ。これは乗車時にもっとも力がかかる方向なので、剛性面や耐久性の面で非常に不利で、現実的とは思えない。
ついでにいえば、前輪も後輪もハブが片持ち式になっているが、これも強度面で大いに不安を感じる。こういった不安要素は開発者側もわかっているのか、この『JIVR Bike』では将来的に『JIVR Care』サービスを始めたいという。これは『JIVR Bike』が200台以上出荷された人口100万人を超える大都市のエリアにおいて、『JIVR Bike』を無償で修理したり新品と交換したりするというサービスだ。
自転車というのは、いま世界的に旬なジャンルのようで、ベンチャー企業が様々な新しい自転車を発表している。ただ、特徴や新機軸を出そうとするあまり、“折り畳み式”、“電動”、“スマート”といった要素を盛り込みすぎるきらいがあるように感じる。そもそも折り畳み自転車には軽量が望まれるので、折り畳み式でかつ電動というニーズは多くないはずだ。また、いまどきスマートフォン単体で消費カロリーの概算ができるのに、自転車に接続する必要があるだろうか? むしろ、自転車はシンプルであるところが最大のメリットであるはずなのだ。
また、スタイリッシュさや折り畳んだときのコンパクトさをアピールするべく、新しい折り畳み方法を採用した自転車も多く発表されるが、往々にして強度や剛性の面で不安を感じるものが多い。逆に、従来の自転車は陳腐にみえるものの、やはり考え抜かれたものなのだということを再認識させられる。この『JIVR Bike』もそうだが、自転車の新機軸を打ち出そうというなら、もっと知恵を絞ってほしい。
|
|