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全国各地で人気を博している、ウルトラテクノロジスト集団チームラボの教育プロジェクト『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』。お台場・日本科学未来館の会場では、デジタル作品に囲まれた空間で、それこそ“本当の遊園地”にいるかのように子どもたちが無邪気に遊んでいる。デジタルの仕組みを理解できなくとも、感覚的に楽しんでいるのだ。
何が子供たちの心をそこまで掴んだのだろうか? そこで今回は、『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』担当の松本明耐氏に話を伺った。
子供はなんでも受け入れる
自分の描いた魚が水槽で泳ぎだす『お絵かき水族館』、積み木を置くことで線路や道路が現れる『つながる!積み木列車』など、『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』のアトラクションが生まれた経緯を聞いた。
![IMG_6792](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/IMG_6792-690x460.jpg)
「自分達が作りたいものをひたすら作ってきただけなんです。子供に『どんなものがあったらいいかな?』なんて聞いても、まず答えは出てきませんよね。そもそも新しいものはヒアリングからは生まれなく、大人である私たちが『こうだ!』っていうものを作り、投げ込んであげるんです。
そうすることで、子供は受け入れるんです。偏見がないから、楽しくて、ワクワクすれば、それだけで受け入れてくれます。デジタルだろうが何だろうが大好きなんですよ」
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実は大人こそ楽しむべき
新しいものを受け入れることの大切さを、親が教育の過程で変に制限してしまっている、とも松本氏はいう。アレはダメ、コレもダメという感じだ。
「日本の親はカテゴライズしたがるんですよね、子供は子供、大人は大人、みたいに。一方『お絵かき水族館』を展示したイタリアでは、ひとりで必死に魚を描いている大人がいて、そこに彼女の名前とハートを加えて、泳いでいるところを写メで彼女に送っているんですよ。新しいものを受け入れるって、スゴイですよね。
![aquarium_main01.fw_](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/aquarium_main01.fw_-690x419.png)
我々は『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』を、子供向けと限定しているわけではありません。なぜなら、大人もまた、共同的で創造的な体験を楽しんでほしいからです。たまには、創造性にあふれるデタラメな子どもたちに紛れてほしい。『お絵かき水族館』で一番燃えているのって、実はお父さんなんですよ。それって普通のキッズ向けテーマパークでは見られない光景で、それくらい“親子で楽しむ”って難しいことなんです」
楽しみながらの知育
『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』のテーマ『共創』は、“共同で創造する”ことを意味する。個人プレーを叩き込まれ、点数化される日本の教育を変えるべく、チームプレイの大切さを気づかせてくれるのだ。松本氏は、そういった教育面にも積極的にアプローチしていきたいと考えている。
例えば『お絵かき水族館』では、自分の創造力に自信を持ってもらい、そして他人の創造物を鑑賞する機会を与えてくれる。『天才ケンケンパ』では、頭で考えたことを素早く正確に行動に移すための運動神経が求められ、また、図形/色の関連性に隠されたエフェクトの法則に気づくきっかけを与えてくれる。1つ1つのアトラクションには、それぞれ“何を学び、何を感じ取ってほしいか”の期待が込められているのだ。
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「社会がすごく成熟化してきて、ただ楽しいだけじゃなく、楽しみながら健康になる、楽しみながら知育になるとかの+αが求められてきました。だからこの遊園地自体を教育にしようという意識があります。
![attraction_thumb22](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/attraction_thumb22.jpg)
答えのないものをどうやって解決していくか、その行程が大切だとも考えています。そこで必要なものは、クリエイティブな能力だったり、編集力だったり、考える力だったりします。または、1人では解決できない問題が、みんなとだったら解決できるかもしれない、と気づくことです。
いつかは学校教育の分野にも入れたらいいなと考えています。ダンスが義務教育に含まれたように、『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』にあるアトラクションだったりチームプレイ、つまり“共創”という授業が入ってきたら最高ですよね。もちろん暗記とかインプットの量は徹底的にやった方がいい。その点では日本の教育はすばらしい! でも、それを編集する能力も必要だと思います」
![つながる!積み木列車_Connecting! Train Block βVer._main](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/c5b9e15399056631d1abe9ff9b8aa7c0-690x388.jpg)
他者からの批評で鍛えられていく
答えがないから“解決”はできない、となるとゴールのような指標をどう考えているのだろう。しかも共創となると、現在の点数を基準とする学校教育のなかでは対応が難しいはずだ。
「指標は、他者からの評価しかないと思います。批評され、鍛えられていく。そういった教育になるように、根本から変えてしまえばいいんですよ。社会に出て『明日までに良いアイデア3つ持ってきて』っていわれても、え?ってなりますよね。アイデア出しなんて学校で習っていないし、困るわけですよ(笑)。
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時々、子供からハガキをもらうんです。『なぜお魚が、色のついた部分だけ切り抜かれて、泳ぎ始めるんですか?』と。いい質問ですよね。技術としては、スキャンしてデジタルに変換しているわけなんですが、『なんでこうなっているんだろう』という疑問を持つことがまずは大事。それをきっかけに、その子の人生が変わるかもしれない。
『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』は春休みからGWにかけて全国9箇所で開催し、4月10日には埼玉の『ららぽーと富士見』で常設展もスタートします。周りが気づくことで、教育が変わっていったら嬉しいですね」
5月10日までは、世界各地の美術展などで話題となりニューヨークの著名ギャラリーで高い評価を得たデジタルアートと『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地』が集結し、『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』展として日本科学未来館で公開中とのこと。こちらも是非行ってみてほしい。