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限られた土地資源を有効活用するには、どうしてもビルの高層化が必要になってくる。しかし、高層ビルは必ず巨大な影を作ってしまい、日照権などの問題を抱えてしまう。
そこでGoogleやMicrosoft 、ケンブリッジ大学などのビルを設計したことで有名な建築デザイン会社のNBBJが、影を作らない高層ビルを考案した。いったいどのようなトリックが隠されてているのだろうか。
二つの高層ビルを建て、片方の反射光を利用
高層ビルがつくる巨大な日陰を解消する手法として、ロンドンの設計事務所NBBJが考案したのは、二つの高層ビルを建てて、片方のビルの影をもう片方のビルが反射した太陽光で消してしまうという仕組みだった。
![NO SHADOW TOWER](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/NO-SHADOW-TOWER.png)
これら二棟で一組のビルは、『No Shadow Tower』と名付けられた。二棟のビルの内、一方の壁面が鏡面効果を持っており、太陽光を反射する。その反射光がもう一方の地上に落としたビル影を照らすように計算されているのだ。
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この計算はかなり複雑になる。太陽の位置は一日で変わるだけでなく、季節によっても変わるからだ。また、うっかり一点に反射光が集中してしまうと、過去にも事故があったように、ある一点が異常に高温になり、物が変形したり人が火傷したりしてしまう。
そこでNBBJの建築家達は、いきなりデザインをスケッチしはじめるのではなく、コンピューター・モデリングを使って太陽光の反射のシミュレーションを行いながら、最適な形状を探し出していった。
設計ソフトウェアに様々な要素を入力し、地上の影を照らす反射光が最大になるデザインを生成するように設計したのだ。
![ビルが太陽光を反射して影を無くす](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/ffe4602bb5c2543549ca79f6bbd723de-690x488.jpg)
そして、太陽の移動に最適化した曲面をビルの壁に採用した。この曲面が太陽光を反射することで、シミュレーション上では常にビルの影を追いかけて照らすようになった。ビルの最終的なデザインは、上層階に行くほど広がるというユニークな形状にたどり着いた。
高層ビルの影の問題は解決されるか
前述したように、反射光が集中して高温にならないように計算され、ビルの影の濃さは60%だけ減少するように調整されている。
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そしてこの『No Shadow Tower』は、ロンドン郊外を通る経度0度の『グリニッジ子午線』上に建築されることを前提に設計された。NBBJは、『No Shadow Tower』をイギリスのグリニッジ半島に建設することを提案している。
![グリニッジ半島](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/d0a5c16e67fc1eb84b331aff2fb9a0f8-690x429.jpg)
もしもグリニッジ半島に『No Shadow Tower』が建設されれば、世界で初めて影のない高層ビルが実現され、高層ビルによる影の問題が解決されるかもしれない。