![](https://news-image.mixi.net/article/218/218_20150403_100858_003.jpg)
やけに大きなアリがいるなぁ、と思ったら、注意が必要だ。
なぜなら、それらはロボットかもしれないからだ。工場のオートメーション機器などを開発するドイツのFesto社が発表した『BionicANTs』は、アリ型のロボット。『BionicANTs』は同社が進めている、自然のモデルをテクノロジーに応用する取り組みの一環として開発された。
『BionicANTs』は実際のアリより巨大で、人の手ほどの大きさがある。しかしその姿や動きは、見事にアリを再現している。いや、似ているのは見た目だけではないのだ。
アリの行動をアルゴリズム化したロボット
『BionicANTs』が本物のアリに似ているのは見た目だけではなく、実際のアリの行動様式にならった動きをするようにプログラムされているのだ。
![BionicANTsの面構え](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/04/2b7537439aec4175666a296d8a90da6e.jpg)
従って、自分だけでは動かせない程大きな物体を動かさねばならないときは、仲間の『BionicANTs』を集めて、共同作業を開始する。ちょっと不気味なロボットだ。
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そのため、欧州のメディアでは「未来の工場では『BionicANTs』が働いているのではないか」と、Amazonの自動化された倉庫を例に予測している。
『BionicANTs』は実際のアリと同様のデザインで、6本足で移動する。頭部も実物そっくりに作り込まれており、2つの目はなんと小型ステレオカメラになっている。その下に搭載したセンサーでは空間認識が可能だ。そして、空間認識能力で認識した物を挟むことができる顎も備えているのだ。
体は3Dプリンターで出力したプラスチック製で、表面には電子回路が印刷されている。足や顎はセラミック製だ。そして充電は触覚から自動で行える。
![BionicANTsの電子回路](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/04/c2d0170573fd093181dc0fc8218cd97a.jpg)
『BionicANTs』は単体で意思決定して行動することができるが、驚くべきは、実際のアリのような共同作業もできることだ。
例えばある大きな物体を複数の『BionicANTs』が無線ネットワークで連絡し合いながら動かすことができる。そのとき、進行方向側の『BionicANTs』は後ろ向きに進み、反対側の『BionicANTs』は前に進むことで、協力して同じ方向に前進する。
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もはやアリだ。つまり、かなり複雑なチームプレイができるのだ。
捕まえたチョウもロボットかもしれない
同社は複雑な制御アルゴリズムを生物の協力行動にならって開発した。
その成果として『BionicANTs』だけでなく重量30gという軽量のチョウ型ロボット『eMotionButterflies』も同時発表している。
こちらも驚くほど本物のチョウに似ていて、羽をはためかせて飛行することができる。こちらの『eMotionButterflies』は自律飛行しつつも、狭い空間で複数の『eMotionButterflies』がぶつかることなく飛行することができる。
『eMotionButterflies』が飛行する空間を複数台の高速赤外線カメラで監視しており、それらがインテリジェント・ネットワーク・システムを活用することで、複数の『eMotionButterflies』の動きを制御しているのだ。
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今回発表された昆虫型ロボットは、姿や動きがリアルということ以上に、本物の行動にならったアルゴリズムが採用されていることが注目点だ。より小型化が進めば、けっこう不気味な現実になるのではないかとも思えてきた。