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食品が体に与える効能について、臨床研究結果や論文など科学的根拠を消費者庁に提出すれば、届け出後60日で「肝臓の働きを助けます」などの表記をして販売できる「機能性表示食品制度」が4月1日から開始されました。4月7日の時点で消費者庁には80件を越える申請が出されており、「トクホ(特定保健用食品)」などに代表される健康食ブームがさらに過熱すると思われます。
しかし、制度施行を前に消費者庁は3月31日、「機能○○食品」など紛らわしい表現を使ってインターネットで商品を販売していた25業者に「表現を改善するよう文書で要請した」というニュースが舞い込んできました。
表現改善の要請について、「やっぱり」というのが私の率直な感想です。現在の健康食品やトクホなどのCM、チラシなどの販売方法を見ていると、どう考えても消費者を勘違いさせて「だましてやろう」といった悪意のあるものが見受けられます。「飲むだけでやせます」というような宣伝をしているお茶やサプリなどがありますが、健康被害が出ることも少なくありません。
この手の商品の問題点は、消費者が医薬品と混同してしまうような表現が横行していることです。健康食品の「お客さまの体験談」手法は、目に余るものがあります。ラジオショッピングやテレビショッピングなどの表現も、「薬事法的にセーフなのか?」と目や耳を疑うような内容が連日放送されています。あれでは勘違いする人がいても不思議ではありません。今回、消費者庁が改善要請を出した25業者は名前こそ公表されていませんが、まさに氷山の一角といって間違いないでしょう。
新制度を逆手に取り、消費者がトクホや医薬品と間違えて買うように仕向けるような業者が増えてしまうのは危険です。消費者が健康に気を使い、体に良い物を選択できるようにと改善されたせっかくの新制度が、悪徳業者の詐欺まがいの販売方法に利用されてしまっては元も子もありません。
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また、消費者庁の認可も「論文や臨床研究結果を提出すれば良い」ということですが、提出された論文や研究結果をきちんと吟味しなければ、商品の効能などを保証する裏付け自体が疑わしく「インチキ」というようなモノも出回ってくるでしょう。
それだけにこの制度は販売する側のモラル、認可する側の研究結果や論文内容に対する精査が非常に重要になります。大手医薬品メーカー販売の降圧剤の論文が撤回された例もあるように、大手の商品だからと信頼することは危険です。しっかりと自分自身の目で判断する必要があるでしょう。
今後は、「体に良さそうな物」が氾濫する時代になります。それゆえ、自分に必要な栄養素は何なのかを見極めていくことが大切です。例えば、関節にとって良い栄養素でも、過剰に摂取すると他の部分ではマイナスになる場合もあります。また、治療中の病気がある人は過剰摂取でその疾患に影響が出るものもあります。
自分自身のヘルスリテラシー能力(正しい健康情報かどうかを判断する能力)を高めて、どんな食品も「毒にも薬にもなる」ということを頭に入れておきましょう。「体に良いと思ったら実は自分にとってはマイナスだった」なんてことがないように、専門家のアドバイスを受けることなども必要でしょう。
そのうち、食品の機能性が表記されていないもののほうが少なくなる時代が来るかもしれません。そのときにきちんと判断できる知識と相談できる環境を作っておきましょう。
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