SUVにもハイブリッドの流れが加速!日産エクストレイルハイブリッドモデルを試乗してみた

2

2015年04月15日 21:30  FUTURUS

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

燃費向上、地球温暖化排出ガスの低減は日本社会、ひいては世界の課題となっている。政府としては免税をするなどハイブリッドモデルを推進しており、メーカーとしても拡大採用方向だ。今回人気のSUV、日産エクストレイルにハイブリッドモデルが追加され、試乗および開発者にお話を伺う機会を得たので、御紹介したい。

完全EV走行も可能な1モーター2クラッチ・パラレル方式を採用

フーガ、スカイラインハイブリッドにも採用された1モーター2クラッチ・パラレル方式を採用(フーガ、スカイラインはエンジン縦置き、エクストレイルは横置きのためエンジン・トランスミッション等ユニットは異なる)。

エクストレイルハイブリッド

モーター走行、エンジン走行、ハイブリッド走行、充電、回生を高度に制御できる2クラッチ・パラレル方式のおかげでモーターのみの走行、つまりEV走行の領域は拡大。

エクストレイルハイブリッド

JC08モード燃費は20.6km/Lで、JC08モードの走行パターンのうち6割以上をEV走行でまかなう。

エクストレイルハイブリッド

2リッターエンジンにモーターを組み合わせることで、2.5リッターエンジン以上の余裕ある走りが可能だ。またEV走行時はエンジン音がしないため、静粛性の高い走行が可能となっている。モーターをうまく活用することで、低燃費とSUVらしい力強い走りを両立できているといっていいだろう。

高度なブレーキ制御

EV走行を支えるのはモーターとバッテリーだけではない。運動エネルギーを回収して電気に変換する回生ブレーキはハイブリッド車の中でも難しい領域だ。ブレーキは従来の油圧ブレーキ(摩擦ブレーキ)と協調して動作させなければならず、効率がよくてもドライバーの感性に合わなければ違和感を感じ、結果として運転しにくくなってしまうからだ。

エクストレイル ハイブリッド

またABS(アンチロックブレーキシステム)やVDC(ヴィーグル・ダイナミクス・コントロール、車両安定装置)もブレーキ制御をおこなうため、システムは複雑を極める。

回生ブレーキとABSの問題

特に問題となるのは回生ブレーキと摩擦ブレーキの過渡領域、ABS制御の部分である。つい先日も筆者の友人がハイブリッド車で濡れた路面の下り坂を軽くブレーキをかけて止まろうとしたところ、マンホールに前輪が乗った瞬間にABSが作動し制動抜けが発生、その後も制動力が復帰せず低速で前車に追突するという事故にあったばかりである。

エクストレイルハイブリッド

この点について開発担当者にきいたところ、この事象は回生ブレーキと摩擦ブレーキの切り替え時に問題となる部分だという。回生ブレーキを使っているときは駆動輪、つまりFFやFFベースの4WDなら前輪のみにブレーキがかかっている状態で、後輪にはブレーキがかかっていない。このときABSが作動し回生ブレーキが解除されると瞬間的に摩擦ブレーキに切り替え、4輪で制動させる。摩擦ブレーキは油圧であるが、この油圧が立ちあがるまでのタイムラグが空走感、制動抜けといった事象だという。

エクストレイルの場合、VDCで使う油圧ポンプを大容量化し、瞬時に油圧を立ちあげることでこの問題を解決している。特にSUVは雪道や凍結路を走行することが多いため、フィーリングも含めて入念にチューニングしている。これならば友人も安心してブレーキを踏むことができるだろう。

SUVにも拡大する環境性能

SUV市場は近年グローバルで拡大傾向である。特に舗装がよくない地域でも気にせずに走行できるSUVは重用される。日本ではホンダ・ヴェゼルが人気であり、同じセグメントではトヨタ・ハリアー、ホンダ・CR-V、マツダCX-5とライバルがひしめきあっている。ヴェゼル、ハリアーはハイブリッドモデルを用意、CX-5はクリーンディーゼルで燃費向上、また世界的にみてもポルシェ・マカンがダウンサイジングターボを用意するなど、ユーティリティだけではなく環境性能も評価の基準となっている。

エクストレイルハイブリッド

ハイブリッド車でEV走行領域が拡大していることを考えると、今後PHV、EV化といった流れが加速していくのではないだろうか。いっそう注目していきたい。

    ニュース設定