どうしてもいれたてのコーヒーが宇宙で飲みたい!そこで生まれた「ISSpresso」

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2015年04月17日 20:10  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

筆者も毎日コーヒーを欠かさず飲んでいるので、宇宙空間で過ごす人達が、いれたてのコーヒーを恋しがったとしても、その気持ちはよく分かる。

インスタントでは駄目なのだ、できあいの物を暖めるのでも駄目。どうしてもいれたてのコーヒーの美味しさにはかなわない。そこで、イタリアのコーヒーメーカーであるLavazzaが技術開発企業であるARGOTECやISA(イタリア宇宙機関)と提携して、無重力空間でもエスプレッソやカフェルンゴ(つまりレギュラーコーヒー)をいれることができるエスプレッソマシンを開発した。

まずはISS(国際宇宙ステーション)での使用を目指していることから、『ISSpresso』と名付けられている。NASAの発表によれば、日本時刻の2015年4月14日夕方に打ち上げられた『SpaceX』のDragon補給機で『ISSpresso』をISSに運搬したとしているので、今頃『ISSpresso』はISSに届けられているかもしれない。

宇宙空間でいれたてのコーヒーをカップで飲むという試み

『ISSpresso』は長期間に亘って宇宙空間に滞在する宇宙飛行士達が、地球で味わうのと変わらないコーヒーやお茶を楽しめることが目的で開発された。


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これまでも宇宙飛行士達はコーヒーを飲めなかったわけではないが、それはパック詰めされた味気ない宇宙食の一つであって、とてもコーヒーブレイクに相応しいものではなかった。

しかし今回開発された『ISSpresso』は、本格的なエスプレッソやカフェルンゴを楽しむことができる。常温の水から、コーヒーの素が入ったカプセルを使用してコーヒーを抽出する方式だ。

『ISSpresso』はコーヒーをいれるために、物理学と流体力学に基づき、宇宙空間でも液体を高圧・高温で扱うための高度な技術が採用されている。何しろ電子機器に囲まれて閉ざされた無重力空間で、大量の高圧・高温の液体を扱うマシンに欠陥があれば、悪くすると重大な事故の原因になってしまうだろうからだ。例えば地球上であればプラスチックチューブを使うところに、特殊鋼チューブが使われるなどしている。

エスプレッソやカフェルンゴだけでなく、紅茶や煎茶、あるいはスープなども作れるという。

ISSpresso概念

そして野心的な試みは本格的なコーヒーをいれることだけではない。飲み方にもこだわろうというのだ。

これまで宇宙空間で飲み物を飲む場合は、パックからストローで吸引するしかなかったのだが、今回はコーヒーをカップで飲もうというのだ。

そのために、NASAは無重力空間でもコーヒーが飲めるようにと、流体力学的な観点からやや奇妙にデザインされた数種類のカップを作成してISSに持ち込むことにしている。

宇宙で嗜好品を楽しむゆとりが

宇宙空間で人が生きていくためには、技術力と体力の限界に挑戦しているような険しさも感じられてきた。

しかし、宇宙飛行士がいれたてのコーヒーをカップで飲めるようにしたい、といった発想と、それを実現しようという動きが実際にはじめられたことを知り、嗜好品を宇宙空間で味わうことができるとはなんと余裕がでてきたことか、と感心してしまった。

宇宙と人類の距離は着実に縮まっているのかもしれない。

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