「Negiccoをつぶしにかかっている」という声も上がる中...AKB48のファンは新グループNGT48をどう見ている？

　10月1日のNGT48劇場オープンに向けて、いよいよ4月10日から第1期生オーディションがスタートしたNGT48。

1月25日に開催された『AKB48リクエストアワー セットリストベスト1035 2015』最終公演での発表当時から、結成10周年を迎えるAKB48グループとしては国内5番目、北陸では初となる姉妹グループ誕生として大きな話題を呼んだが、すべてはヴェールに包まれていた。それから2カ月後となる3月26日、さいたまスーパーアリーナで行われた『AKB48 春の単独コンサート〜ジキソー未だ修行中！〜』でも、キャプテンに北原里英が就任、柏木由紀がNMB48との兼任を解除され、NGT48兼任となることなどが発表されたが、以前として全貌は見えてこない。

　そんなNGT48についてネットでは「NGT48成功するのかな？」「NGT48失敗しないといいけど......」といったグループ設立を不安視する声や、「NGT48なんて不要」と否定的な声も上がっている。一部では、新潟のご当地アイドル・Negiccoを挙げて「NGT48がNegiccoをつぶしにかかっているのでは？」といった声も見られる状態だ。

　だが、実際のところAKB48グループファンはNGT48結成をどう思っているのだろうか？　今回はAKB48結成当時からAKB48劇場に通い詰め、姉妹グループができると本拠地に遠征、現在はTeam8に情熱を注ぐ某現場ヲタの方に話を聞いた。

■NGT48結成にオタたちは...!?

――NGT48誕生の一報を聞いた時はどう思いましたか。

現場オタのAさん（以下、A）　アイドルファンは総じて新しいものが大好きです。特に古参と言われるコアなファン層はスタートダッシュに命をかける人も多く、どんな子が出てくるのか楽しみにしています。北陸地方で48グループは初めてですし、芸能界全体でも北陸出身のアイドルは少ないので、「新潟（and北陸）にはどんな子が出てくるのか？」と私も含めてファンの大半が期待を寄せていると思います。

――既存の48グループファンが、NGT48に大量に流れていく可能性はあると思いますか。

A　あるでしょうね。現在、AKB48のメンバーはベテランが増えていて、全体的にマンネリ化しています。その理由として、ベテランが多くて下の子が育たないという状況が大きいんです。自分が応援しているメンバーがいても上がつかえている。そうすると応援する気持ちも萎えてくる。そして、もっとフレッシュな子を求めてほかのグループに流れていく。2013年のメジャーデビュー以降、HKT48のファンが急速に増えたのが典型的な例です。またグループが設立された順に推しを変えていく人もたくさんいます。アイドルファンは節操ない人ばかりですからね（笑）。グループのファン層の変換例として、最初は、ちょっとマニアックなアイドルヲタクが飛びつく。劇場公演を地道にやっていくと地元のファンが増えてくる。しばらくすると、SKE48は"ダンスユニット"、HKT48は"おもちゃ箱"とファンの間で言われるように、それぞれのグループにカラーができてくる。そのカラーを好きになるファンが全国から流れてきてファン層が入れ替わる。大体がこのパターンです。

■地域密着型"Team 8"から見るNGT48

――各都道府県から1名のメンバーが選抜されて結成されたTeam 8も「会いに行きます。」をコンセプトに地域に密着した活動を行っていますよね。ファンにとってSKE48、NMB48、HKT48とは意味合いが違うのでしょうか。

A　違いますね。その3グループもAKB48と同じで、抽選に応募して当選しなければ劇場で見られない。地方とは言え、倍率が高いし、年に数回しか見られないんですよ。それにSKE48、NMB48、HKT48は規模が大きいですし、ファンの人数も増えてきているので「距離が遠い」と感じている人も多いんです。それに対してTeam 8は、現地に行けば必ず参加できます。Team 8はトヨタ自動車が活動をサポートしているのですが、トヨタが開催する無料のイベントが多いので、お金もかからないし、ファンの総数が少ないので「距離が近い」んですよね。

――では、一般的にTeam 8の知名度や人気が上がらないのは、どこに要因があるんでしょうか？

A 　Team8のネガティブなイメージとして、「スポンサー（トヨタ）がある」「研究生の期間がなく、いきなり正規メンバーに昇格したので苦労していない」などがあって、今までの48グループとは違うと敬遠している人も少なくありません。もちろん私のように、「両方とも大好き」と言う人はたくさんいますし、Team8が「今見ていて一番楽しいグループ」ではあることは間違いないです！　かなり個人的な意見も強いですが（笑）。

――客観的に見て、現在のTeam 8の人気はどの程度のものなのでしょうか。

A　正直まだ「48グループ内の小さな輪の中での人気」です。まだライト層には届いておらず、メンバーの知名度は48グループファンの中でも低いです。もっと人気が出るはずなのに、「まだ見つかってくれない」が正直な感想ですね。しかし、この状況はAKB48がブレイクする直前に似ています。AKB48がブレイクした「大声ダイヤモンド」の直前も、「いい子が揃っている。曲もいいのにブレイクしないな......」と思っていました。結果、AKB48がこれほど巨大化した訳です。あの頃とは時代も違いますし、アイドルの総数も飛躍的に増えていますが、同じようにきっかけさえあればTeam 8もブレイクすると思います。今年は地方のイベントだけでなく、全国ツアーも行っています。じょじょにですがメンバーもメディアに露出していますので、これから人気が上がる可能性は大きいです。次世代を任せられるような優秀な人材もたくさんいますので、ブレイクする準備はできています。

――Team 8には新潟県代表・佐藤栞が所属していますよね。彼女がNGT48に移籍する可能性はあると思いますか？

A　彼女は握手の対応や、ステージのスキルも上がってきて、爆発的ではありませんが着実にファンが増えています。NGT48への完全移籍はないかもしれませんが、兼任はあるかもしれません。

――兼任したとしたらTeam 8のファンは歓迎するのでしょうか。

A　まだ地方でTeam 8は浸透していないので、兼任に反対するファンはいないと思います。もし兼任するとしたら彼女にもチャンスです。まだTeam 8の活動でも新潟のイベントは開催されていないので、彼女の兼任はなくとも、NGT48とTeam 8の両方から新潟を盛り上げてほしいですね。

■NGT48がNegiccoに及ぼす影響

――新潟と言えばNegiccoが、地道な活動が実を結んで全国的なブレイクを期待されています。48グループのファンはほかの地方アイドルに興味はあるのでしょうか？

A　一概には言えませんが、ライトなファンと、コアなファンによって行動は変わりますね。ライトなファンはメディア・ネットからの情報がメインなので、現場に行かないと応援できない地方アイドルは敬遠しがちになります。それに対してコアなファンは、たくさんのアイドルをつねに探していますので、どこでも出没します。最近は地方アイドルも頻繁に東京のイベントに参加しています。実際、東京のイベントで48グループ以外のアイドルを見てファンになって、毎週のように、その地方に通っている人もいます。同じ新潟を本拠地にすることで、NGT48がNegiccoのテリトリーを侵害するのではと危惧する声もあるようですが、むしろ相乗効果で両方のファンが増える可能性のほうが高いと思います。そもそも同じアイドルと言うだけで、48グループとNegiccoの個性や魅力は別物ですからね。

――それまで地方と言っても名古屋、大阪、博多と都市部に誕生してきた48グループですが、NGT48の誕生によって、全国の48グループファンが新潟に駆け付けると思いますか？

A　駆けつけます！　少なくとも私は駆けつけます（笑）。その状態が続くかどうかは別としてコアなファンは必ず通る道だと思います。ただコアなファンは飽きっぽいので、その後に地元ファン、ライトなファンをしっかりつけるかが、NGT48が成功するかどうかの分岐点になると思います。

■ファンが思うNGT48の人事について

――現時点でのNGT48の人事についてお聞きしたいんですが、AKB48の北原里英のキャプテン就任はどう思われますか。

A　次世代にシフトしているAKB48の中で、今23歳の北原のポジションは微妙で、このままAKB48にいても伸びる可能性は低いと思っています。そんな中でNGT48への移籍は大きなチャンスだと思います。本人もこれが最後のチャンスだと思っているはずなので期待しています。今回の移籍は同期生であり、同じ地方組【編注：地方出身の北原里英、HKT48の指原莉乃、元SKE48の中西優香らを指す言葉】の指原を意識しているはずです。北原は後輩の面倒見がいいし、ライブのMCでも後輩を持ち上げることが上手なので、NGT48で脇役に徹すれば絶対に結果は出ると思っています。発表の日はさいたまスーパーアリーナにいたのですが、聞いた瞬間「運営はよく考えたなあ」と思った絶妙な人選でした。

――同時にAKB48の柏木由紀がNMB48の兼任を解除されて、新たにNGT48を兼任することが決まりました。

A　現在の48グループには、柏木さんに憧れている、目標にしているという若手メンバーが大勢います。彼女がNGT48を兼任することにより、憧れの柏木さんと共演したい、会いたいと思っている女の子が数多く応募してくると思います。とある週刊誌のインタビュー記事で、柏木さんはNMB48を兼任した時に「私の輝ける場所がひとつ増えた」と語っていました。NGT48でも同じ意識で臨むでしょうし、それはグループ内によい作用をもたらすと思います。

――もうひとつ、SKE48劇場支配人だった今村悦朗氏が、NGT48劇場支配人に就任したことはどう思われますか。

A　正直、SKE48で見る限りは、あまりリーダーシップがないように見えました。唯一の懸念材料ですね。ただ今回のオーディションで可愛い子がいっぱい入ってくれれば、自然とヲタは新潟にやって来ます。とにかく今は期待感でいっぱいですね。

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　とにかくネガティブな意見も多いNGT48結成だが、熱心なファンにとっては大きな関心事であり、人口80万人余りの地方で専用劇場が根付くかどうかは、48グループにとっても試金石となる。そもそも比較対象として名前の挙がるNegiccoは、新潟県在住ではあるものの活動の基盤が東京というのが現状だ。

　NGT48が成功するか否かは、地方アイドルの未来を占う上でも極めて重要な役割を担うだろう。
（取材・文／猪口貴裕）