CO2排出量を2,800トンも抑えられる!? 建設予定の「木造高層ビル」…環境かそれとも安全か

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2015年04月30日 06:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

オーストリア・ウィーンで建設予定のビルは、完成すれば“ある意味”世界一高い建物になる。

アメリカのニュースサイト『the gardian』によると、予定されているビルの高さは84m。世界第2位の高さを誇る東京スカイツリーが634mだから、一見たいしたことないのでは? とも思えてしまうが、問題は使われる材質。なんと、全体の76%に“木”を使うというのだ!

HoHoプロジェクトと名付けられたこの計画、要は“世界一高い木造高層ビル”を作ろうというものだ。建設予定地はウィーンの『the Seestadt Aspern area』、現在ヨーロッパで最大級の都市開発区域のひとつだ。

建設は、地元の建築家グループが担当。完成すれば、ビル内にはオフィスや住居、ホテルやレストランにフィットネスセンターなどが入る予定だという。

CO2排出量を2,800トンも抑えられる!?

76%に木材、残りはコンクリートを組み合わせて作るというこのビル。さすが芸術の都ウィーン、見た目にもこだわっているのか? と思いきや、木を使う一番の目的は“環境への配慮”なのだそうだ。

プロジェクト開発者のキャロライン・パルフィ氏によると

木は環境を考慮した場合には完璧な建築用素材です。200年以上前から使われていますが、現在でもこれほど完璧な素材はないですね。

このビルでは全体の76%に木材を使うことで、同様の建物を全てコンクリートで作った場合に比べ、2,800トンのCO2削減につながります

CO2排出量“2,800トン”は、クルマが約40キロの距離を1,300年間毎日走った場合に出す量と同じ。しかも、木は大気からCO2を吸収してもくれる。それらの点で、ビルの素材は“木が最高”なのだという。

An apartment in the HoHo skyscraper

安全面に憂慮する消防署

いいことずくしのように思えるこの計画だが、地元の消防署は難色を示している。木造であるが故に耐久性などの安全面を懸念していて、建築許可をだしていないのだ。

消防署の広報担当クリスチャン・ウェグナー氏は説明する。

コンクリートと木を組み合わせた建造物には特別なテストが必要です。また、もっと安全なスプリンクラーシステムも用意しないとならない

確かに、一般的なコンクリート製ビルに比べると、災害時にはやや不安。特に、もし火災があった場合には、木造の方が全体に火の手が回るのが早く、逃げ遅れる人がより多くでそうだ。

ちなみに、オーストリア国民党(OVP)は建設擁護の立場だ。

広報担当のカトリーナ・リデール氏は語る

確かにウィーンは高層ビル都市ではないけれど、新しいことを試すのがなぜ悪いのか?

環境への配慮か? 安全第一か? ビル建設が実現するかどうかは興味深いところだ。今後の動向に注目したい。

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