「蚊に刺されやすい遺伝子」英研究で判明

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2015年05月04日 08:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

筆者と妻が夏に外出すると、何故か妻ばかりが蚊に刺される。筆者はあまり蚊に刺されないのだ。筆者の方が体温も高いし、二酸化炭素もより多く放出しているようだし、汗臭くもある。しかし、蚊たちは私よりも妻を狙っている。

妻に言わせれば、私は普段から薬ばかり飲んでいるから血がまずいのだという。しかし、そうではなさそうだ、という研究が行われた。

ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院の研究によれば、蚊に狙われやすい遺伝子があるというのだ。つまり、蚊に刺されやすい人には、持って生まれた遺伝的な理由があるらしい。

蚊が遺伝子の違いを感知していることを示す実験

この興味深い研究を行ったのは、James Logan氏が率いるロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院の研究チームだ。彼らは、一卵性双生児と二卵性双生児を使って、遺伝子に起因する体臭によって蚊に狙われやすさが異なる事を実験した。これまでは、蚊が獲物を狙うときには、二酸化炭素の濃度や体温などを感知していると言われてきた。

しかし研究チームは、蚊がより惹き付けられる理由は遺伝子にあるのではないかと仮説を立てたのだ。そして体臭に目を付けた。蚊は体臭自体ではなく、体臭から遺伝子の違いをかぎ分けているにちがいない、と。

そこで次の様な実験を行った。

一卵性双生児18組と二卵性双生児19組に協力してもらう実験だ。Y字型のパイプを用意し、二股に分かれた先に双子のそれぞれの手を入れてもらう。そこに反対側の穴から20匹の蚊を入れるのだ。

実験用Y字型パイプ

すると、一卵性双生児の場合は、蚊はほぼ半々に分かれて血を吸いにいった。つまり、遺伝子が100%同一の一卵性双生児では蚊の好みに偏りが生じなかったのだ。

しかし、遺伝子が50%しか共通しない二卵性双生児の場合は、蚊はどちらか片方に偏って血を吸いにいったのだ。このことから研究チームは、蚊は遺伝型の違いを感知していると考えられる結果がでたと、主張している。

本当に蚊は遺伝子の違いを感知しているのか

さて、この実験は一見仮説を実証してみせたようだが、疑問もでている。まず、実験のデータが18組の一卵性双生児と19組の二卵性双生児と少なすぎるというものだ。また、本当に蚊が遺伝子の違いを感知したのか、あるいは二卵性双生児であることで生じる臭いや体温の差を感知したのか明確に説明できないということがある。

しかし、研究チームは実験成果を大きな前進であると考えている。もし二卵性双生児が体臭や体温の違いを持っていたとしても、その違いの元が遺伝子の違いにあると考えているからかもしれない。

研究チームは、この研究が進めば、人それぞれの遺伝子にあわせた虫除け薬を開発できるかもしれないと言う。そうすれば、蚊を媒介する危険な病気を防ぐ手段も開発できるだろうとも考えているという。

もし蚊が、遺伝子の特定要素を感知できているとすれば、もっと凄いことに利用できそうな気もする。さらなる研究の成果に期待したいところだ。

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