テスラが低価格バッテリーで世の中を変えようとしているかもしれない

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2015年05月05日 08:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

太陽光発電だ、風力発電だといっても、結局天候次第で発電できなくなってしまう不安定なエネルギー源だ。太陽光発電に至っては天気が良くても夜は無力になる。

何が足りないのか。そう、強力な蓄電装置だ。

米国時間の4月30日に、テスラモーターズは家庭向けとオフィスビルなど向けのバッテリー製品を発表した。

しかも発表会場の電力は、発表されたばかりのバッテリーで賄われているという実に説得力有るクールな発表となった。

驚くべき低価格を実現したテスラの実績

発表されたのは家庭用の『Powerwall』とオフィスビルや店舗用の『Powerpack』だ。いずれも太陽光発電で発電した電気を蓄電するための製品となる。

家庭用の『Powerwall』については、予約販売も受け付け始めた。『Powerwall』には7kWhと10kWhの2タイプがある。壁掛け式であるため、専用の収納小屋などは必要ない。


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サイズは縦130cm、横幅86cm、厚さが18cmと薄型である。

Powerwall

『Powerwall』は必要に応じて9基まで並べて設置することができるが、1基でも7kWhと10kWhのタイプがあるので、日本の一般的な家庭であれば1日分の消費電力が十分賄える。

ビルや店舗用の『Powerpack』は、大型の冷蔵庫といった形状で、100kWhのバッテリーブロックで構成されており、組み合わせれば500kWhから10MWh以上の容量にできる。

報道陣を驚かせたのは、発表会場の建物の電気が、この『Powerpack』で賄われていたということだ。同製品は既に、電力会社からの受注が始まっているという。

再生可能エネルギーの蓄電

いずれの製品も、他社製品の半額以下に抑えるとしており、これは電気自動車向けにリチウムイオン電池を量産してきた実績により可能となったことだ。

従ってまず予約販売が始まった『Powerwall』は、10kWhタイプが3,500ドル(約42万円)で7kWhタイプが3,000ドル(約36万円)となっており、例えば東芝製の6.6kWh製品である『ENG-B6630A2-Nシリーズ』が希望小売価格270万円することと比較すると驚異的な低価格であることが分かる。

そして現在建設中のネバダ州にある『ギガファクトリー』が稼働を始めてバッテリーが量産されれば、さらに製造コストが抑えられるようになる。

ギガファクトリー

再生可能エネルギーを後押しするのは誰か

このように蓄電池の技術や低コスト化で再生可能エネルギーを後押ししているテスラモーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)だが、彼は原子力発電賛成派だ。このことは余り知られていない。

私は原子力賛成派だ。基本的にクリーンな電源といってよい。ただし、自然災害から守られているという条件付きだ。残念だがカリフォルニア州や日本のような地震多発地帯には向かない。実際、カリフォルニア州はサンオノフレやディアブロ・キャニオンなどで原発を少しずつ止めていっている(日本経済新聞:2015年5月2日)

彼は原子力を、今のところクリーンで安定したエネルギー源として認めている。この点、非常に現実的であるといえる。

但し、彼は原子力発電には自然災害の脅威が常にあることも懸念しており、そのためにも蓄電池の低価格化によって再生可能エネルギーを現実的なエネルギー源に育てようとしているのではないか。

つまり、脱原発を唱えているよりも、実際に再生可能エネルギーだけで家庭や工場の電源を賄える低価格な蓄電装置を世界に普及させれば、その結果として原子力発電が不要になるかもしれないのだ。

イーロン・マスク氏は、そのことを企業家としてのアプローチで、実現してしまうかもしれない。

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  • 安い夜間電力を貯めて、高い日中に売れるようになったら、電力問題終了。
    • イイネ!4
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