世界初の「3Dプリントロケットエンジン」ニュージーランドのRocket Labが開発

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2015年05月07日 06:30  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

ある試算によると、ソユーズでの宇宙飛行が1人当たり5,000万ドル(約40億円)、スペースシャトルなら数億ドル、と少し前まで宇宙旅行には文字通り“天文学的”なコストがかかっていた。最近では民間企業による宇宙旅行の研究・テストが活発に進められ、低コストでの民間宇宙旅行の実現が現実味を帯びてきている。

4月に米コロラドで開催された『スペース・シンポジウム』の年次大会では、ニュージーランドのベンチャー企業Rocket Lab社が、ロケットの打ち上げコストを95%カットできるという方法を発表し、注目を集めている。

必要な燃料は近距離の航空機程度

驚くほど低コストでの発射が可能になるのは、“Rutherford engine”と呼ばれる独自のエンジンを積んだ、衛星打ち上げロケット“Electron”だ。同社によると、“Electron”は使用する液体燃料の量を著しく少なくすることに成功。衛星が地球の軌道上にたどり着くまでに、航空機がロサンゼルス〜サンフランシスコ間で使用するのと同程度の燃料しか必要としないという。

Rocket Lab Electron Rutherford motor

“Electron”は高度500kmの太陽同期軌道の場合で最大積載量100kgに耐えるようデザインされている。最初の打ち上げは2015年中を予定しており、商業運行も来年中には開始される予定だ。小型衛星の低軌道への打ち上げの場合、コストはなんと490万ドル程度で済むというから驚きだ。

主要コンポーネントには3Dプリント技術

推力4,600lbfのRutherfordは、ケロシンや液体酸素を推進剤として用いるターボポンプのエンジンだが、ポンプはリチウムイオンポリマー二次電池を利用するブラシレスDCモーターで駆動。

なによりも特徴的なのは、インジェクターからポンプ、プロペラントバルブといった、すべての基本的なコンポーネントに3Dプリント技術が使われていることだ。部品は電子ビーム溶解という技術によって、概ね3日程度でチタン合金からプリントすることが可能だという。

Rocket Lab Electron Rutherford motor

3Dプリントに電子モーターという技術を使った斬新なコンセプトで、研究者や宇宙ファンの期待を集める“Electron”。今年中に行われる打ち上げテストに成功し、商業運航でさらなる飛行データを集めることで、将来的には蓄積した知見と独自の技術を有人ロケットへも展開させていってほしいところだ。

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