「Nature」誌で発表!機械的なクラッチが歩行をより効率的にする外骨格が登場

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2015年05月10日 08:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

普段の生活で意識することはあまり多くないが、人間の歩行は非常に効率的なもので、平地で安定的なスピードで歩くためには理論的には新たなエネルギーを投入する必要がないという。その一方で、年配の人や自らの足での移動に困難を抱えている人にとっては、歩行は日常の中で最もエネルギーを消費する動きとなる。

これまでもこの分野の専門家やエンジニアは歩行をより容易にするシステムの研究を進めてきたが、コストや重量の面で障害にぶつかっていた。そんななか、研究者が長年追求してきた、外部電源を必要としない外骨格が『Nature』誌で発表され注目を集めている。

歩行時の代謝コストをおよそ7%低減

カーネギーメロン大学とノースカロライナ州立大学の研究者は、足首部分に装着することで歩行時の代謝コストをおよそ7%低減させる外骨格を『Nature』誌で報告。7%といえば、大まかにいって約4.5kgのバックパックを下ろすのと同程度となり、従来まではこの数字を実現するために電源デバイスを用いる必要があった。

共同研究者のひとりで、カーネギーメロン大学で運動工学の助教授を務めるSteve Collins氏は、人の歩行が考えられているよりもずっと複雑な運動だと説明し、「誰もが歩き方を知っていても、実際にはどのように歩いているかを知らない」と話している。

彼らは長年にわたり、歩行のバイオメカニクス的な分析を積み重ね、ふくらはぎの筋肉の負担を軽減する超軽量のデバイスを研究してきたが数多くの失敗もあったという。

ふくらはぎを模した機械的なクラッチ

超音波検査の研究で分かったところによると、ふくらはぎは体を前へ進ませる時に働くだけでなく、アキレス腱を固定するクラッチのような動きでも重要な役割を果たしているそうだ。このことを念頭にチームが製作したデバイスは、足が地面に接している時はかみ合い、爪先の接地に干渉しないよう足を上げると離れる機械的なクラッチを備えている。

exoskeleton 外骨格 歩行

この部分がふくらはぎの働きを引き継ぐことで、外部のエネルギー源なしに力を生み出し、結果的に全体の代謝コストを減少させることに成功したのだ。

exoskeleton 外骨格 歩行

電源を必要とする補助器具だと、デバイスそのものが重くなり向上させた代謝コストを損なってしまうというジレンマがあったが、今回発表された外骨格はこの点をクリアした画期的なデザインだということだ。実用化・製品化が進めば多くの人の助けになる、今後が楽しみな研究ではないだろうか。

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