エコ&コスト1億円削減の「オンサイト発電」でJ- オイルミルズの食用油はどうなる?

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2015年05月19日 06:50  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

AJINOMOTOや豊年などのブランドでおなじみ、食用油メーカーのJ-オイルミルズが、主力生産拠点の千葉工場で『オンサイト発電』を導入することを発表した。『オンサイト発電』……聞き慣れない言葉だし、食用油の生産工場の話だから関係ないと思うなかれ。実は我々の生活に関係してくることも結構あるので、少しおつきあい願いたい。

まず、『オンサイト発電』とは何か? 工場稼働に必要な電力エネルギー設備の建設や運営などを、外部の事業者に委託することだ。そもそも、生産工場を持つメーカーには、独自の発電設備を持っているところが結構ある。J-オイルミルズもそのひとつで、現状は生産用のエネルギーを電力会社からの購入と火力発電による自家発電の両方でまかなっている。

だが、東日本大震災の影響による原子力発電所の停止などにより、自家発電量が増え、CO2排出量も増加。コストや環境問題に関する対策として出てきたのが、今回の『オンサイト発電』導入だ。

年間1億円のコスト削減を計る

メリットは、まず千葉工場で年間1億円近いコスト削減だ。現在、すでに建設が始まっている新しいエネルギー供給設備は、設計から保守、資金調達までの一切を新日鉄住金エンジニアリングへ委託。2016年4月からの稼働を目指している。

千葉工場 また、受託した新日鉄住金エンジニアリングでは、発電した電力の余剰分を小売するなども予定。トータルで、プロジェクト全体のコスト削減を目指すという。

i-オイルミルズ製品

CO2排出量も46%削減

建設中の設備では、最新の『ガスコージェネレーション』も導入予定だ。またもや聞き慣れない言葉だが、要はこれは、発電した電力だけでなく、発電中にでた排熱を利用した蒸気もエネルギーに変える、ということ。そのため、ガスタービン発電機を新たに新設。これら合わせ技により発電能力は8MW(メガワット)、総合効率は82%になり、CO2を従来方式より46%削減できるという。

ちなみに、J-オイルミルズでは、国内全6カ所の工場のうち、ほかにも静岡工場や建設中の倉敷工場で、『オンサイト発電』導入を検討中。その他の工場でも、省エネ対策などを行うことにより、将来的には年間で総額4億円のコストダウンを行う予定だ。

i-オイルミルズ工場

エコだけでなく品質や価格にも影響あり

環境面の改善ももちろんだが、コスト削減のメリットは我々にとっても大きい。

J-オイルミルズとしては、以前の自家発電方式よりコストが下がる分、製品の品質や価格の維持・向上に資金が回せるからだ。日々使う食用油の話だけに、商品の品質や価格は生活にダイレクトに影響してくる。

今回の設備改革が、よりいい方向へ向かうことを期待したい。

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