トヨタ自動車・マツダが環境技術などで協業を発表

2

2015年05月25日 20:20  FUTURUS

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

2015年5月13日。トヨタ自動車とマツダが緊急に共同記者発表会を行った。その内容は、両社が業務提携に向けて基本合意に達したというものだ。

提携内容は抽象的

質疑応答を含めて30分強の記者発表会の模様は、トヨタグローバルニュースルームがアップしているYouTube動画でみることができる。

おもな内容は、“クルマが持つ魅力をさらに高めていく”ことを念頭に、両社の経営資源の活用や、商品・技術の補完など、相互にシナジー効果を発揮しうる、継続性のある協力関係の構築に向けた覚書に調印したというものだ。

実際の提携内容に関しては、たとえばクリーンディーゼルとか燃料電池といったジャンルに関する具体的な言及はなく、かなり抽象的な内容になっていた。そのため、“ここから何が生まれるのか”というものを想像するのは難しい発表内容だ。


動画を別画面で再生する

両社はお互いのなにを求めているか?

トヨタ自動車・豊田彰男社長の言葉のなかで印象的だった部分は、

両社の取り組みを通じて「次の100年もクルマは楽しいぞ!」というメッセージを世界に発信することによって、自動車業界の活性化やクルマファンの拡大に寄与することができれば、こんなに素晴らしいことはないと思っております

というところであった。

TOYOTA_MAZDA02

マツダ・小飼雅道社長の言葉のなかで印象的だった部分は

技術、商品力の向上、ビジネス効率の改善を通じて、両社の発展、成長につながるとともに、お客様にとっての提供価値を高められると確信しています

というものだ。

TOYOTA_MAZDA03

両社を比較した場合、会社の規模はとうぜん大きく異なるが、個性的なのはマツダのほうだ。ロータリーエンジンはなくなってしまったものの、現在は優れた小型ディーゼルエンジンを含む『SKYACTIV技術』や一貫性のある個性的な『鼓動デザイン』で人気を高めている。

いっぽうで、トヨタのほうは、経営効率、生産技術の高さがなんといっても特徴的だ。しかし、クルマの個性という面ではマツダに比べるとやや弱い。そのため、86のような趣味性の高いスポーツカーでは提携している富士重工(スバル)の技術を多いに採り入れて個性をアピールしている。

あくまでも想像だが、そういった特徴から考えれば、トヨタはマツダの個性的な部分を欲し、マツダはトヨタの生産技術等を欲して提携を決めたのではないかという気もする。

さらにそこから想像すれば、なにか新しい具体的な商品がでてくるとしたらトヨタのほうであり(たとえばSKYACTIV技術を採り入れた小型車など)、マツダは商品の生産効率アップ、品質アップという面で成果があらわれるのではないだろうか。

各社の協力体制で自動車の新時代を築けるか

この両社の業務提携、経済界では大きなニュースかもしれないが、じっさいのところ、あまり一般ユーザーにとって話題性のインパクトは大きくないと感じるところもある。これまでもそうだったが、こういった自動車メーカーの提携は部品や技術の共通化、生産効率のアップなどの面で、メーカー側には大きな影響があるのだが、一般ユーザーからみて、そう目にみえて大きな影響があるものではないように思えるのだ。

豊田彰男社長は、就任以来“クルマの楽しさ”をアピールする活動をかなり行っていて、それは自動車業界の常識のなかではけっこうサプライズの領域に入るものも多い。そういった意味では、通常の自動車メーカーの業務提携よりは少しだけ“ワクワク感”が期待できるかもしれない。

いずれにしろ、近い将来、自動車という乗り物がその価値観、そしてシステムの大転換を迎えるのは確実だ。それでいてその方向性はいまだに混沌としている。その際に、ひとつひとつのメーカーが個別に戦うより、何社もで協力体制を築いたほうが、時代の変化への対応や、自ら時代をリードする変革はやりやすい。

現在業務提携を行う自動車メーカーはそういった部分も視野に入れているだろう。自動車という乗り物の大転換がじっさいにはじまったら、ユーザーも否応なく巻き込まれるので、重大な論点となりえるかもしれない。

    ランキングトレンド

    前日のランキングへ

    ニュース設定