太陽光電池だけで飛ぶ電動飛行機「ソーラー・インパルス2」が世界一周に挑戦中!

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2015年05月28日 06:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

今まさに、スイスの冒険家たちが壮大なプロジェクトを敢行している。なんと、太陽光エネルギーだけで空を飛ぶ飛行機で、世界一周の旅をやろうとしているのだ。

飛行機の名前は『ソーラーインパルス2(SOLAR IMPULSE2)』。コード名Si2と呼ばれるこの飛行機は、長さ72mの主翼に17,248枚ものソーラーパネルを装備し、そこから得られる電力でプロペラを回して飛ぶ電動飛行機だ。

プロジェクトの創始者は、スイスの精神科医でパイロットのベルトラン・ピカール氏とアンドレ・ボルシュベルク氏の2人。目的は“クリーンテクノロジーと再生可能なエネルギーの可能性を証明し、技術革新を推進”することだ。

アブダビから各国を巡る冒険

この途方もない計画、飛行ルートは次の通り。

アブダビを飛び立ち、途中でオマーン、インド、ミャンマー、中国、ハワイなどでそれぞれ着陸しながら太平洋を横断。その後は、北米大陸を横切り大西洋にでて、最終的にアブダビに戻る。

というもの。最高速度が90km/hしかでないため、一回のフライトでは5〜6昼夜連続で飛行。

Solar Impulse04

コクピットが狭いためパイロットはどちらか1名で、その間は寝ずに航行するという。

Solar Impulse08

『ソーラーインパルス2』は、3月9日にアブダビを出発、すでに中国の南京までは到達している。本来は、5月25日に南京を飛び立ちハワイへ行く予定だったが、天候の悪化などで中止。現在は、新しい飛行日などを検討中だ。

Solar Impulse03

他分野でも応用できる技術を開発

『ソーラーインパルス2』は、主翼自体は大型旅客機のボーイング747より長い。だが、動力は電動モーターのみ。飛ぶためには、主に軽量化のために新しい素材や技術を投入する必要があった。

例えば材質。軽量化と高い剛性の確保のためには、新素材を使う必要があり、炭素繊維と樹脂を混合した“炭素繊維複合材料”を開発。今後、船舶や宇宙船などにも応用できそうな新素材の開発により、総重量は乗用車と同程度の2,300kgとなった。

主翼に装備した17,248枚のソーラーパネルには、ガラスだと重くなるため透明のプラスチックを採用。電動モーターのエネルギー効率向上も若干ながら行った。

infography-solar-impulse-2

前述の通り、この飛行機は軽量化のためコクピットが非常に狭く、定員は1名。5〜6昼夜連続飛行をすると寝てしまうため、“居眠り警告装置”も開発。これは、パイロットの呼吸や心臓の鼓動、脳の機能をキャッチし、カメラが目とあごの筋肉の動きを捉えることで寝ているかどうかをコンピュータが判断。眠っていると判断した場合は警告するもので、これも将来的に自動車などへの応用が期待できそうな技術だ。

開発には、スイス連邦工科大学ローザンヌ校や地元企業が数多く協力をしている。スポンサードも含めると、協力企業数80社。それらの多くが、単に冒険のために飛行機を作るのではなく、新テクノロジーに結びつくような技術開発を実施。スイス企業の技術力向上……これこそが、プロジェクトの“真の目的”だったのだ。

Solar Impulse02

早ければ8月にゴール

『ソーラーインパルス2』の冒険は、まだ始まったばかり。早ければ今年8月には、再びアブダビへの上陸を予定しているが、さて成功はいかに?


動画を別画面で再生する

YouTubeや公式サイトで、プロジェクトの過程や新しいフライトは随時配信されているので、興味がある方は、ぜひチェックしてみて頂きたい。

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  • まさかの小牧着陸。見に行こうっと。
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