「食べものをかむとき、下あごからに頭がい骨の側面(耳の後方)にかけてある咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ばれる筋肉を使います。左右どちらかに偏ったかみ方を続けていると、よくかむ側の咀嚼筋だけが発達して、肥大化していきます」(同)
ちょうど、利き腕のほうが反対側の腕よりも太くなりやすいのと原理は同じだそう。しかも下あごは咀嚼筋にぶら下がる構造をしているため、片側の咀嚼筋が張ってくると、それにつられてあごの位置までねじれてしまうこともあるとか。
「かみグセの原因は、人それぞれです。例えば奥歯や前歯に問題がある場合もあれば、ストレスなどでくいしばるクセが影響していることもあります」(同)
一方、使わないほうの筋肉は萎縮して下がってくるそう。そのせいでかまない側の口元だけシワが深くなったり、目元がたるんだりすることも。自分の顔のバランスを見るには、写真を撮ってみるのがおすすめ。「鏡では見慣れている自分の顔も、写真に撮ることでゆがみを自覚しやすくなるので試してみましょう」(同)
■顔のゆがみセルフチェック
1. 普通の表情で、自分の顔の写真を正面から撮る。
2. 笑った表情で、自分の顔の写真を正面から撮る。
「1と2を見比べて、目の開き方や、口角の上がり方、ほうれい線の入り方が違うようなら、かみグセによって顔のバランスが崩れている可能性が。片側のほおがもう片側よりも張っている場合、そちら側の歯でばかりかんでいるはず。反対側の歯も使うように心がけましょう」(同)
かみグセが原因でできた顔のゆがみは、放置すれば進む一方なのとか。「ひどくなると元に戻すのが難しくなります。気になる人は歯科医でチェックを受けましょう」(同)
顔のゆがみにもつながるかみグセは、早めに対策を打つのが正解。まずは左右の歯でバランスよくかむように意識して。
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歯科医師/神谷町デンタルクリニック院長。奥羽大学歯学部卒業。東京、神奈川、大阪の歯科医院で院長、副院長を歴任し、海外でのインプラントトレーニングにも多数参加。2014年開業。日本では珍しいマイクロスコープを使った精密歯科治療も行っている。