世紀の発見?脳と免疫システムを直接繋ぐ導管が見つかる

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2015年06月12日 06:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

人体には依然として解明されていない謎が多く残っているとされるが、先日、これまでのテキストブックをすべてひっくり返すほどの驚くべき発見がNature誌に発表された。University of Virginia School of Medicineの研究員らは、存在しないと考えられていた導管によって、脳と免疫システムが直接繋がっていることを発見したのだ。神経の病気に関する重要な示唆を含む可能性があるほか、研究面でもこれまでの常識を再編し、新たな研究領域を開くことが十分に考えられる。

神経・免疫を考えていた認識方法が完全に変わる

こうした導管が発見されたことは、単に驚くべきことである以上に神経学的な病気の研究や処置にとっても極めて重要な発見だという。

同大学の神経科学部のJonathan Kipnis教授は今回の発見の意義について、興奮を交えて「この発見は、私たちが神経と免疫の相互作用を認識していた方法を完全に変えるものだ」と語っている。

アルツハイマー病解明の可能性も

これまで、リンパ系は頭蓋骨の下部までで途絶えていると考えるのが常識だった。ところが、Kipnis氏のラボの研究員は顕微鏡でマウスの脳膜を見ていた時に、免疫細胞を運ぶ導管のようなパターンに気づいたという。テストしてみたところ、やはり“不可能なことが目の前に”あったそうだ。

これらの管が、複雑な湾曲やイメージしづらいエリアを通る血管に沿って伸びていたため「非常にうまく隠れていた」と説明している。教授によれば、「とても血管に近かったため、見逃していたんだ」ということだ。

Brain

研究の次のステップは、多発性硬化症やアルツハイマー病といった脳と免疫系を含む疾病に、導管がどのように関わっている可能性があるかを調べることになるようだ。例えば、アルツハイマー病の患者は脳内に蛋白の蓄積・沈着が起こることが分かっているが、Kipnis氏は導管が蛋白を効果的に除去できないために起こっていることも考えられると話している。また、導管は年齢によって違って見えるといい、年齢によって異なる役割についても研究が待たれる。

今回の発見はごく予備的なものだが、研究チームは今後の治療の新しい可能性につながることに希望を持っている。さらなる研究や臨床分野への応用にも期待したいところだ。

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