屋内で「ハリケーン」を作りだす世界最大のタンクが登場

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2015年06月17日 20:20  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

5月には2つの台風が本州に接近するなど、例年よりも早い台風シーズン入りとなった2015年。大西洋や太平洋北部でも6月からハリケーン・シーズンが始まっている。アメリカ海洋大気庁(NOAA)の予測によると、今年は太平洋側では例年の平均より多く、大西洋ではエルニーニョ現象の影響で平均より少なくなる見込みだという。

そんななか、先日からマイアミ大学では最も強い分類に入る“カテゴリー5”のハリケーンを観測することができるタンクを設置したと『Nature』誌が伝えている。いったいどのような装置なのだろうか。

 

嵐を観測する装置としては世界最大

このほどマイアミ大学の海洋学者たちは、ハリケーンをシミュレーションするための巨大な室内タンクを建造。日本の京都のほか、マルセイユやハイデルベルグにも同様の観測を行うための設備があるが、『SUSTAIN(for Surge–Structure–Atmosphere Interaction Facility)』と呼ばれるこのフロリダのタンクは嵐を観測する装置としては世界最大となるという。

1,500万ドルを投入して完成された『SUSTAIN』は、最大瞬間風速70m/s以上にもなる“カテゴリー5”のハリケーンを作りだすことができる唯一の装置でもある。研究者はすでに先月からタンクを利用し始めており、データはハリケーンの強度予測を改善するのに役立てられるようだ。

ハリケーン

 

1分以内に“カテゴリー5”のハリケーンを再現

透明のアクリルで覆われた、一見水族館の水槽のようにも見える20メートル×6メートルのタンクだが、スイッチひとつで1分以内に“カテゴリー5”のハリケーンを再現。マイアミ大学の研究者で、タンクのディレクターでもあるBrian Haus氏によると、差し当たりは海と大気の境界の研究に使われるという。以前により小さい規模のタンクで行われた、風と海水の間の摩擦によって起こる抗力が風速に応じてどのように変化するかの実験では多くの発見があったといい、これをより勢力の強いハリケーンで調べるようだ。

タンクのオペレーターは水温や塩度もコントロールすることができ、強風のなかで二酸化炭素がどのように移動するか、といった気候変動に関する疑問に取り組むのに効果的。また、土木工学の研究者は『SUSTAIN』のなかに建物のモデルを接地することで、猛烈な風のなかでそれがどのように抵抗するかを確かめるといった使い方も可能だ。

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『SUSTAIN』のデータはハリケーン予報のモデルを改善することを期待されている一方で、暴風に伴う波の動きについては今後の研究が待たれるという。ひとたび巨大ハリケーンが上陸すると、その被害は甚大なものになるだけに、多くの人命に関わる有意義な研究になることだろう。

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