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透明だったガラス窓を、瞬時にすりガラスにしたり、暗くしたり、色をつけたりする技術が発表された。しかもそれが安価にできるという。シンシナティ大学とその協力者による研究だ。
プライバシーも明るさも色も調整できる
この特許申請技術を開発したのはアメリカのシンシナティ大学、ヒューレット・パッカード社、EMD/Merk研究所だ。この技術は、近い将来にも昔ながらの窓のブラインドにとって代わる可能性があるという。
製造は簡単で、コストも安いので、ビジネスユースにも家庭ユースにも使える。ハニカム構造の電極を持つフィルムを張り付けることで、既存の窓にも使えるという。
電気的な操作で暗くすることができる窓ガラスは、これまでもなかったわけではない。それだけでは従来からある機械式のブラインドに対して圧倒的な優位性があるわけではなかったため、いまひとつ普及してこなかった。しかしこの窓ガラスはさらに進んで、さまざまな調整が可能なのだ。
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具体的にいえば、まず色を変えることができる。それも色の濃さを変えるというのではなく、夏だったら涼しげな青系の色に、冬だったらあたたかな黄色系の色にと、“色温度”を変えることができるのだ。
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プライバシーを守ることもできる。それも、光の90%を透過させつつ、すりガラスのようになかを見えにくくすることも可能だ。もちろん光の透過率をさらに下げることもできる。
光の透過性能に関しては、より細かい調整も可能だ。たとえば、可視光線を通しつつ、赤外線を遮断することができる。夏の暑い時期に外の熱気が室内に伝えにくくなる。また冬場は赤外線を通して太陽の温かさをとりこむようにすることも可能だ。
電子ペーパーの技術を応用
これを可能にしたのは、電子ペーパーを使ったディスプレイ技術だ。それを窓のような広い面積を持つものに適用でき、しかも安価に作れるものにしたという点が画期的だ。製造コストは約30cm四方で30ドルを下まわる(これは窓ガラス製造の標準的な水準だという)。
![view-1.asp](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/06/view-1.asp_1.jpeg)
基本的には1つの色は1つの電荷を持っていて、別の色はまた別の電荷を持っています。そして、私たちは電圧によって、任意の色を反発させたり引きつけたりできるようにしました。基本的には私たちのグループがこれまで電子ディスプレイのデバイスに使ってきた技術と異なるものではありません。むずかしかったのは、この技術を窓ガラスのような広い面に使えるように、しかも安価でかつ扱いが簡単にできるように、適したデバイスの構造を探し出すことでした。その結果、色温度やプライバシー、日よけ機能の調整など、選択肢を絞りつつ効果的な機能を実現することができました
と、研究チームのリーダーであるSayantika Mukerjee氏はいう。
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たしかに窓ガラスそのものに遮光機能があれば、ほこりがつもりやすいブラインドのようなものは不要になって便利だ。また、赤外線(熱線)の透過を調整できることは、省エネの面でも魅力的である。しかし、色温度まで変える必要があるだろうかという点は少々疑問だ。
機能としてはすごいが、現実的にはコストとの兼ね合いだろう。耐用年数等の問題もある。ただし、こういった技術の進歩が電子ペーパーの進化、コスト削減へとつながるかもしれない。窓ガラスそのものへの適用もさることながら、デジタルサイネージなど、さまざまなディスプレイ類へこういった技術が応用されていく可能性がある。