![](https://news-image.mixi.net/article/218/218_20150619_107902_003.jpg)
再生可能エネルギーは天候に左右されやすいなど問題が多いが、常に技術は進歩している。その進歩の中でも、ちょっとした工夫でエネルギー変換効率を上げることができる場合がある。
GEが取り組んでいる風力発電がそうだ。
風力発電において、実は現在主流の風車では、かなりの風力をエネルギーに変換できずに逃しているのだ。
それが、ほんのちょっとの工夫で改善出来ることが分かった。それは、風車の中央に、ドームを付け加えることだった……。
問題は風車の中心
米GEの研究グループが5日に発表したのは、新型風力発電風車の『ecoROTR』だ。
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『ecoROTR』は従来の風車の中央に、丸いドームを付けたもので、カリフォルニア州のモハベ砂漠で実験を開始した。
![ecoROTRのドーム横から](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/06/94f3d561520ac2be9a6e46aae6bab860.jpg)
ドームを付けただけ? と言われそうだが、実はこれが今後の風車のスタンダードになるかもしれないのだ。
従来の風車では、風車の中央部分に吹き付ける風はエネルギーに変換できずに逃してきた。つまり、素通りさせていた。
ところがこの部分に丸いドームを追加すると、中央で逃していた風が、中央から外側に誘導されることで、風車を回すエネルギーとして活用できる様になるという。
このアルミ製の丸いドームは直径が18メートルもあり重量も9トンあるが、100トンを超える発電装置全体からすれば、大した負担には成らないようだ。
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![ecoROTR全体](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/06/a73a69cff5c70b0b5ebd00b5aacdd8f5.jpg)
また、ドームを付ける事で風が風車の中心を通らなくなるため、風車の中央部分の設計や構造を、風の抵抗を気にせずにシンプルにする事ができるようになる。
では、このドームを風車の中央に取り付けるだけでエネルギーの変換効率はどうなるかというと、3%向上する。僅か3%とも思えるが、これはこれまで口径120メートルのプロペラが持っていた発電能力を、口径100メートルのプロペラで賄えるようになることを示しているという。
その結果、巨大化することで高くなっていた設備の移動や設置のコストを削減できることになる。あるいはこれまで設置が難しいとされていた場所に設置できるようにもなるかもしれない。
風力発電設備の導入を加速させるか
さらに、『ecoROTR』の工夫はドームだけではない。風車を支えるタワーも、従来の鉄製の管ではなく、金属を格子状に組み立ててポリエステルでカバーするという方式に変えたのだ。
このことは、タワーを小さめの部品で運搬し易くし、現地で組み立てることを容易にするだろう。つまり、風力発電設備の設置を容易にできる。
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また、従来の風力発電では、発電能力を高めるためにプロペラ部分を長くしてきた。そのことは環境負荷を大きくしてきたのだ。
『ecoROTR』の実験で最適なドームとプロペラの比率が解析され、より小型化できるようになれば、風力発電設備の導入ハードルがひくくなるかもしれない。