世界規模で見る医療の課題・・・カンヌ広告祭で出会った3つの「ヘルスケアイノベーション」

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2015年06月24日 18:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

6月21日、世界最大の広告祭とも言われる『Cannes lions International festival of creativitiy』が開幕した。世界中のアイデア、イノベーション事例が集まるクリエイティビティのお祭りには、今年もたくさんの人が訪れている。実は、昨年度から医療やヘルスケア領域に焦点をあてた部門『Lions Health(ライオンズヘルス)』が独立して始まっており、19〜20日にその審査と受賞作品の発表が行われた。

『Life Changing creativity』というテーマを元に、医療・ヘルスケア領域のコミュニケーションにおけるクリエイティビティを顕彰する同賞。その受賞作品の中で、FUTURUS編集部が気になったものをいくつか紹介したい。

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既存の習慣に入り込むイノベーション

まず紹介したいのは、『Life Saving Dot』というインドの事例。

Life Saving Dot


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インドには、錠剤の薬を飲む習慣がなく、処方してもなかなか飲んでくれない。

そこで、インド女性に取って必要不可欠なオシャレのひとつであるビンディーに薬を塗布するというアイデア。

薬がしみ込んだカラフルなビンディーを医療施設などで配布し、日常的に使用してもらう。

新たな習慣を作り出すのではなく、既にある習慣の中に溶け込むことで、効果をあげた事例。

最新のテクノロジーがある訳ではないが、とても効果的なイノベーション事例であると言える。

幸せを運ぶ“鉄の魚”

2つ目は、『Lucky iron fish』というカンボジアの事例だ。これは、カンボジアの鉄分不足をどう補うかという活動。

Lucky Iron Fish


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鉄分欠乏症は、世界的に罹患率の高い栄養不良のひとつで、世界で約20億人がかかっていると言われており、WHOによると、すべての鉄分欠乏症の人を治療することができれば、国の生産性を20%も向上することができるとのこと。

そんな鉄分不足を補うために、カンボジアでは幸運の象徴であり、毎日食べられている魚をモチーフに、鉄の魚『Lucky iron fish』が配られた。調理中に鍋に入れても違和感がなく、暮らしの中に溶け込むことのできるアイデア。

HIVに対する正しい理解を広げる取り組み

最後に、The HIV +Issueというオーストラリアの事例だ。

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これは、オーストラリアのライフスタイル雑誌がその最新号を、HIV患者の血液をインクに混ぜて印刷したもの。3人のHIV感染者の血液をインクと混ぜ合わせている。

透明なビニールの包装に包まれた雑誌。包装をやぶって雑誌の1ページ目をめくる時に、何を考えるか。

HIVに対する正しい理解が広がるキッカケとなるだろう。詳細は【参考・画像】の最下部にある映像をご観いただきたい。

世界を変えるアイデアやイノベーションは、まだまだ生まれてきそうだ。

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