ストレスは体内時計にどう影響する?
私たちの体には「体内時計」があり、それが乱れると、肥満・糖尿病やガンなどの発症リスクを高めるとされています。体内時計はストレスによって「なんらかの影響」を受けるとされていましたが、その具体的な影響については、明らかにされていませんでした。
そこで、早稲田大学理工学術院の柴田重信教授、早稲田大学高等研究所の田原優助教らの研究チームは、マウスを使ってストレスが体内時計に与える影響について研究を進めてきました。そして、ストレスが体内時計を「乱す」ことがわかりました。
今回の研究からは、朝よりも夕・夜のストレスが体内時計をより狂わせることが明らかに。朝、起き始めのストレスは全く影響が無く、夕方では体内時計が遅れ、夜、寝始めでは、体内時計が組織によってバラバラになり、腎臓では時計振動がストップして体の中で時差ボケ状態になるなど、影響が大きいことが分かりました。
体内時計合わせに効果的なのは?
これを人間にあてはめると、朝よりも夕方、夜間のストレスが、体内時計を乱しやすく注意すべきだと言えます。夜間交代勤務などのシフトワーカーは時差ボケがあったり、体内時計が乱れているとされていますが、夜勤中のストレスがその影響をさらに強めているかもしれません。
一方、人間は光や食事によって、常に体内時計の時刻合わせをしていることから、軽度なストレスは体内時計を正しく保つのに重要かもしれないとのこと。運動やトレーニングは、アドレナリン分泌などストレスと似た生理応答を示すことから、体内時計を正しく保つのに効果的といえそうです。
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今回の研究でストレスが体内時計を乱すことは明らかになりましたが、どこまで大きく乱れてしまうのかなどは、まだ明確ではありません。また、慢性的な過度のストレスで発症するうつ病患者の体内時計が乱れているのかなど、まだまだ解明するべきことは沢山あるようです。(林 渉和子)
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