衝突時の姿勢変化をより具体的に知ることができるバーチャル人体モデル「THUMS」

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2015年07月02日 19:40  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

いま、そこにある危機を認識して身構えられるのか、察せない状態で脱力した状態で危機と遭遇してしまうのか。前者と後者では人体の身体の動きは大きく異なる。

骨・皮膚・筋肉をリアルに再現した人体モデル

トヨタが発売する『THUMS(サムス)』は人体の形状はもとより骨や皮膚に至るまで、身体各部位の特性を模擬することで、車両衝突時の骨折・靭帯断裂などの詳細な解析を可能とするバーチャル人体モデル。

2000年にVersion 1を市販開始、2004年に顔面・骨を精密にモデル化したVersion 2、2006年に脳を精密にモデル化したVersion 3、2010年に内臓を精密にモデル化したVersion 4を市販しており、2015年6月26日には人の身構え状態から脱力状態まで模擬可能なアクティブな筋肉モデルが収録されており、衝突事故における人体傷害をコンピューター上でよりリアルにシミュレートできるVersion 5がリリースされた。


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ドライバーや同乗者を守るための技術

ダミー人形での実験では困難なドライバー、同乗者、歩行者の骨折・脳障害予測に活用されている技術であり、最新版の『THUMS Version 5』は全身の筋肉の三次元形状と硬さの変化をモデル化している。このモデルにより、衝突前の身構えや回避動作のシミュレートも可能になり、身構えが衝突後の傷害に及ぼす影響を評価できる。

WRCなどのラリーを見ていると気がつくと思うが、例え横転するような重大事故でも、耐衝撃姿勢をとっていたドライバーのダメージは意外にも低いことがある。それだけ衝突前の身構えが被害を抑えるということなのだろう。

ドライバーと同乗者に迫りくる事故の瞬間を察知させるアラーム、ブレーキアシスト、自動ブレーキ、そしてシートベルトを締め上げて固定するプリクラッシュセーフティシステムなどの開発促進において、『THUMS』は多大な効果を発揮してきた。そして『THUMS Version 5』により、現実の事故に近い条件でシートベルトやエアバッグなどの安全装備の効果を検証できるほか、予防安全技術の効果をより精度高く予測可能とし、乗員保護効果をさらに向上させた予防安全技術の開発促進が期待できる。

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