今、なぜナノファイバーが食品業界が注目されているのか

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2015年07月19日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

『ナノファイバー』という言葉を聞いたことがあるだろうか? 現在、ヘルスケアや環境工学、バイオテクノロジーといった分野で研究が進められているこの素材は、直径が数十〜数百ナノメートル、1本が髪の毛の何百分の1もの細さだという超極細繊維だ。

電圧を与える“エレクトロスピニング法”と呼ばれる方法で製造されるこのナノファイバーが、いま食品業界から熱い注目を集めているという。いったいどういうことなのだろうか。

補助食品化合物の新たな製品や運搬システムに寄与

イギリス・リンカーン大学とイランの食品科学技術研究所の共同チームは、学術専門誌『Food Hydrocolloids』に、食品に応用するのに適した“エレクトロスピニング法”の包括的な分析を掲載。筆者のひとりであり、長年ナノファイバー製品の研究に携わってきたリンカーン大学のNick Tucker博士は、この論文のねらいが「補助食品化合物の新しい製品や運搬システムに関するデザイン、パフォーマンスを前進させることにあった」と説明している。

栄養素を保護し、消化から守り、目的の部位まで正確に届ける方法としては、これまでにカプセル包装や乾燥、生理活性の化合物などを試したこともあったが、これらの方法の厳しい条件はバクテリアの生存能力を落とし、分子の構造にダメージを与えてしまったそうだ。

栄養素が製造過程や消化システムを通過する間保護

“エレクトロスピニング法”を用いれば、プロバイオティクスやビタミンなど体にとって良い成分をコーティングすることができる。この方法は、温度や簡易な構造のため、補助食品化合物の新しい運搬システムとしての可能性を示しているという。

Tucker氏は今回の研究の意義について次のように説明している。

エレクトロスピン製のナノファイバーは、加工から保管の間、あるいは体内の目的の場所に移す過程で、栄養素を保護するための食品運搬システムに使われるだろう。しかし、製品の状態を最適化し、ナノファイバーの質を最大化するためには、エレクトロスピンのメカニズムについての明確な理解が非常に重要だ。

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非常に複雑で専門的にも聞こえる研究だが、現在はサプリメントを利用する人も多いため、実は身近な話題になりつつあるナノファイバー。私たちが摂取する補助食品の吸収を助ける技術として、今後の推移を見守っていこう。

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