断言はできないけれど、将来は自動運転車が主流になると思う。現在のテクノロジーから想像すると、それくらいの性能の自動運転技術は実現するのではないだろうか。
世界のところどころで自動運転車の公道実験が行われているようだが、より安全に、さまざまな試みができる自動運転車専用テストコースを、ミシガン大学がオープンさせた。同大学がウェブサイトで報じている。
道路標識の落書きも再現
ミシガン大学は、ミシガン州の都市アナーバーに、自動運転車と相互通信車のテストに特化した世界初のテストコース『Mcity』(エムシティ)をオープンさせた。設計・開発したのは、ミシガン運輸省との提携による学際機関『MTC』だ。
現在、ミシガン州には375の自動車関連研究施設があるという。この『Mcity』は、自動車の先進技術の研究において、ミシガン州の重要性をさらに高めるものになる。
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『Mcity』は32エーカーの敷地を持ち、都市部と郊外の環境を模してデザインされている。もちろん交差点があり、信号があり、道路標識があり、街灯があり、正面だけだが建物もあり、歩道もあり、道路工事の現場まである。新しい技術が開発された際に、公道で試す前に、この場所で緻密なテストを繰り返しできるようになっているのだ。
自動運転車が実際の道路上に増えていくにつれ、試すべきことも数多く出てきます。『Mcity』においては、安全で、よく管理されていて、それでいて現実に近い環境で、自動運転車や相互通信車の性能を、迅速に、効率よく、安全にチェックすることができます
と、ミシガン大学モビリティ・トランスフォーメーション・センターのPeter Sweatman氏はいう。
このコースでは、実際の道路にある細かい特徴も採り入れている。たとえば、道路標識に落書きがされていたり、道路上の区分ラインがかすれていたりというものだ。
相互通信技術の研究も推進
またこのコースは自動運転だけではなく相互通信車のテストにも使われる。自動車同士が相互通信をしたり、インフラ設備と通信をしつつ走行する技術だ。
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このセンターは、商業的に可能性のある相互通信車、自動運転車のネットワークの基礎となることを目的として設立されている。『MTC』の大きな目標のひとつは、2021年までにアナーバーの道路に相互通信車と自動運転車のネットワークを構築することだ。
『MTC』はこの『Mcity』に加えて、相互通信車と自動運転車のプロジェクトを3つ推進している。ひとつは、ミシガン・エコノミック・ディベロップメント・コーポレーションの協力のもとに、アナーバー圏において約3,000台もの相互通信設備を構築した。
また、産業界とミシガン運輸省と共同で、ミシガン南東部において2万台もの自動車で相互通信の技術を試す計画も進めている。そしてもうひとつはアナーバーで2,000台の相互通信・自動運転の車両を走らせる計画だ。
このようにして、テストコースと実際の道路との両面から、自動車の相互通信技術の研究を行っているのだ。
『MTC』と協力関係にある企業のなかには、自動車メーカー、自動車部品メーカーのみならず、信号機や交通センサーの会社、保険会社、電気通信技術やビッグデータの企業までが含まれている。また公的機関としては、連邦レベル、州レベル、市レベルの政府・自治体等と協力している。
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この施設は、どんな機関も使用することができるが、『MTC』の協力企業やミシガン大学の施設、学生に優先権がある。なお、協力企業には、デンソーや、ホンダ、日産、トヨタといった日本の企業も入っている。
こういう専門施設があれば、自動運転の技術開発はやりやすくなるだろう。そういった技術の導入によって、将来的に交通事故が大幅に減ってくれることを願いたい。