日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が地球を旅立ったのは2014年12月だが、小惑星までの往復52億キロメートルの旅を経て地球に帰還するのは2020年の予定だ。
生命の起源を探るため、3年後の2018年に、ある小惑星に到着することを目指して宇宙空間を飛行している。しかも『はやぶさ2』はその小惑星の表面に人工的なクレーターを作り、むき出しになった地表にタッチダウンし、サンプルを回収して地球に帰還しようとしているのだ。
ところがその小惑星にはまだ名前がない。現在は仮に『1999 JU3』と呼ばれているが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)はこの小惑星に正式名称を付けるべく、名前の募集を開始した。
募集は7月22日の午後から受付が開始されている。
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小惑星の名前が決まるまで
『はやぶさ2』が目指す小惑星『1999 JU3』が発見されたのは1999年5月10日で、リンカーン研究所の自動観測プログラム『LINEAR』が発見している。
歪な形をしているが直径は約900mで、地球と火星の間の軌道で太陽の周りを公転している。
『1999 JU3』はまだ仮の名称で、発見された年などから付けられたものだ。
この小惑星の名称は、本来なら発見者が提案する権利を持つが、JAXAが『LINEAR』チームに『はやぶさ2』プロジェクトから提案させて欲しいという希望を出して了承されたのだそうだ。
そのため、まずJAXAが名前を公募し、その中から相応しい名前を選ぶ。そして選んだ名前の理由などを添えて、『LINEAR』チームに提案する。
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それを受けた『LINEAR』チームはIAU(国際天文学連合)に提案する。
IAUのCommittee for Small-Body Nomenclature(小天体命名委員会)の審査を経て、MPC(Minor Planet Center:IAUの下部組織)が科学誌『Minor Planet Circulars』で正式に発表するという段取りを踏む。
小惑星の名前にはある程度縛りがある
なお、小惑星の名前には、ある程度縛りがある。国際的な慣例から神話に由来する名前が相応しいとされていることや、アルファベットで16文字以内とされているのだ。
ただ、神話は海外だけでなく、日本の神話でも良い。また、必ずしも神話に由来する必要はないが、その場合はしかるべき理由を説明する必要がある。
実際、初代『はやぶさ』がサンプルを持ち帰った『イトカワ』は、日本ロケットの生みの親とされる糸川英夫博士にちなんでいるという前例もある。
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ちなみにJAXAでは、『はやぶさ2』の探査目的が地球の水や生命の起源を調べる事にあるため、このことも名前を考える際のヒントにしてみてはどうかとしている。
受付はウェブ上でもはがきでも行っている。早ければば年内に小惑星に名前が付くことになりそうだ。
名前の受付は8月末までなので、これを機会に、国内外の神話を読み返してみても良いのではないだろうか。