JX日鉱日石エネルギーの水素事業責任者が語る「安全な水素社会」の実現

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2015年07月24日 06:00  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

『FUTURUS』では『燃料電池自動車“MIRAI”が丸裸に!トヨタが組み立てラインを動画で初公開」などのように、何度か取り上げているTOYOTAの燃料電池車『MIRAI』。再生可能エネルギーの活用に向けて、“水素燃料”への取り組みが自動車メーカーやエネルギー事業者、行政など日本国内で盛り上がってきている。

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そこで今回FUTURUS編集部は、東京都杉並区にある『ENEOS 東京・杉並水素ステーション』にて、JX日鉱日石エネルギーの水素事業推進部長である佐々木克行氏に、日本のインフラを変える“大規模プロジェクト”にかける熱い想いを聞いてきた。

日本のエネルギー事情と企業としての取り組み

“<現在、日本の一次エネルギー、消費エネルギーの約50%は“石油”なんです。JX日鉱日石エネルギーは、未来のために限りある資源を「何に、どう引き継いでいくか」「いかに大事に使っていくか」を使命として取り組んでいます。>“

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ENEOSのマークでおなじみのJX日鉱日石エネルギーは、日本最大規模のエネルギー企業だ。その使命とも言える“未来に向けた”エネルギー活用の実現。そのなかの大きなプロジェクトのひとつが、“水素エネルギー”なのだという。

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日本で使われる石油資源のほとんどは輸入に頼っており、資源はもちろん有限なものとなる。さらに近年、世界中で環境に配慮したクリーンなエネルギーの活用を目指す取り組みも、活発化している。

JX日鉱日石エネルギーは、現在国内の企業で最も多い12箇所の水素ステーションを運営している。

“<今後も水素ステーションの開設を進め、2015年度内に40箇所程度の開設を目指しています。インフラを整備し安定した水素供給と、トータルな自動車用燃料供給の実現を目指しています。>“

佐々木氏の語る未来へ向けたプロジェクトは、着実に進んでいるようだ。

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課題は「普及初期のコスト」と「インフラ建設のコスト」という2つのコスト

インフラはある日いきなり変わるというものではない、長期的に変えていく必要がある。水素エネルギーの活用に向けての課題についても伺った。

“<ひとつは普及初期のコスト。燃料電池自動車(FCV)の普及、そして水素ステーションの普及には、やはりまだ時間がかかるだろうと思われます。普及初期は水素ステーションの運営費を回収するのが困難なため、官民一体となって支えあっていかねばならないですね。>“

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“<また、建設のコストももうひとつの課題。水素供給の技術の開発から、水素ステーションの開設まで様々な課題をクリアし、安全でなおかつ安定した供給を目指しています。

まったくの新しい施設の開設やサービスを生み出すのではなく、石油事業の既存インフラを活用しつつ、技術開発、規制見直し等において様々な工夫をして水素事業の展開に取り組んでいます。>“

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国内最大規模の企業だからこそできる、既存のインフラを上手に活用した取り組みが水素の供給をスムーズにする可能性を秘めている。

 

クリーンで安全なエネルギーを目指して

JX日鉱日石エネルギーをはじめ、日本の製油所全体で使われる水素の生産余力だけでも、FCV約500万台分の燃料になるという。水素エネルギーの発展に欠かせない大きな存在であることは間違いないだろう。

様々な手法で作ることができる水素は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーからも製造することが可能で、CO2はほとんどでない。自動車の燃料として使用した場合、ガソリン車と比較するとCO2の排出を大きく減らすことができ、環境にやさしいエネルギーとなる。

また、欠かせないのが安全対策である。

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その点について佐々木氏は

“<震災の影響で「水素爆発」のイメージがついてしまった。しかし、水素ステーションにおいては、漏洩防止と早期検知、また漏れた場合の滞留防止、引火防止、そして万が一引火した場合の周囲への影響防止など、安全対策が徹底されています。

また、水素ステーションの近隣に住んでいらっしゃる方への説明を丁寧に行うなど、水素の安全性について広く啓発していくことが重要であると思っています。>“

と話してくれた。

今後は製油所や再生可能エネルギーからの水素源を活用していくとともに、FCVをはじめとする家庭用・産業用の水素エネルギーの活用を目指し、世界上位の“経済大国”日本の新しいエネルギーの発展が進んでいくだろう。

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“水素社会”実現への取り組みは、まだ始まったばかりだが、環境と安全に配慮した国家的なプロジェクトにかける熱い想いは引き継がれ、いつかあたりまえのように水素を活用する社会が来るかもしれない。

『エネゴリくん』もそんな未来を願っているのではないだろうか。

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