意外に多い!? いまさら聞けないハイブリッド方式まとめ

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2015年08月02日 20:30  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

世界初のハイブリッド、トヨタ・プリウスが世の中に出てから20年近くが経とうとしている。ハイブリッド車は日本において普及し、今や新車販売の約半数を占めるまでなってきているという。そしてそのハイブリッドの構造も車種、メーカーによって様々。そこで今回は改めてハイブリッドの方式を振り返ってみたい。

パラレル方式とシリーズ方式、スプリット方式

まず最初に基本的な構造から。エンジンとモーターを併用するハイブリッド・カーは、その役割によってパラレル方式とシリーズ方式に大別できる。

シリーズ方式(直列方式)はエンジンを発電のみ使い、バッテリーを充電、そのバッテリーの電力でモーターを回転させ、駆動させる方式である。つまり電気自動車に発電機を搭載したモデルと考えれば分かりやすい。

パラレル方式(並列方式)とはエンジン、モーターの両方で駆動をするもので、その割合は制御により可変となっている。一般的に低回転が弱いエンジンに対し、低回転が強いモーターがアシストすることで、立ち上がり加速を補うことができる。

世界でもっとも普及しているプリウスはこの両方が可能なスプリット方式を用いている。スプリット方式ではエンジンの動力を自在に発電、駆動に振り分けることができるため発進時はモーターのみ(シリーズ方式)、力強い加速時はモーターとエンジンにより駆動(パラレル方式)と両方の方式を使い分けることができる。

ホンダIMA


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ホンダのIMAは初代インサイトで搭載されたパラレル方式ハイブリッド。モーターがエンジンとトランスミッションの間に配置され、エンジンをアシストする。モーターはあくまでも補助で出力は限定的、軽量コンパクトにまとまり、効率よく燃費を向上させることができる。モーターは回生ブレーキ時に発電機も兼ねる。

デメリットとしてはエンジンと直結のためにモーター駆動の場合にエンジンも回転してフリクションになる点があげられる。

http://www.honda.co.jp/tech/auto/engine/honda-ima/

ホンダ Sport Hybrid i-DCD


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ホンダの新世代ハイブリッドとなる Sport Hybrid i-DCDは、7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)との組み合わせで複雑な制御をおこなうものだ。

エンジンの逆側に取り付けられたモーターはDCTを介すことで、エンジンのみ、モーターのみ、エンジンとモーターの両方の駆動と切り替え、IMAよりも高効率のパラレル方式となっている。

http://www.honda.co.jp/tech/auto/i-dcd/

日産 インテリジェントデュアルクラッチコントロール


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日産のハイブリッドシステムは1モーター2クラッチ方式でエンジンとモーターの駆動を自在に切り替えることが可能、これにCVTを組み合わせている(FF用)。

クラッチのよって不要な時にエンジンを完全に切り離し、抵抗を減らすことができる上、発電が必要な場合はエンジンで駆動しながらモーターを回転、発電を同時に行うことができるのが特徴だ。

http://www.nissan.co.jp/X-TRAIL/performance_hybrid_system.html

トヨタTHS-II


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スプリット方式を採用、モーターとエンジンの出力を自在に組み合せることで、高効率のハイブリッドシステムとしているのがトヨタのTHS-IIである。エンジンを発電のみに使えるシリーズ方式にもなるため、EV走行の領域が長いのが特徴だ。

http://toyota.jp/aqua/performance/hv_system/

プラグインハイブリッド

EV走行を長くすればするほど燃費が向上するのは自明である。そこで電池の容量を大きくし、家庭で予め充電(プラグイン)することで近距離をすべてEV走行可能としたものがプラグインハイブリッドである。


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アウトランダーPHEV、プリウスPHVなどが充電(プラグイン)に対応している。充電した電気だけでEV走行できる領域は、ほぼEVと変わらないといっていいだろう。EVと異なるのは充電が万が一切れたとしても、ガソリンエンジンを使って充電、走行が可能となり安心という点だ。

レンジエクステンダー

EVに発電機を積めば航続距離が延び、シリーズ方式のハイブリッドとなる。この発電専用のエンジンを「レンジエクステンダー」と呼ぶ。


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BMW i3の場合、リアモーターの横にバイク用 650ccエンジンを搭載、発電することで走行しながら充電することができ、航続距離を伸ばすことができる。このエンジンは発電専用のため、駆動することはしない。BMW i3は 229km走行可能だが、このレンジエクステンダー装備モデルでは最大300kmまで伸ばすことが可能。

http://www.bmw.co.jp/jp/ja/newvehicles/i/i3/2013/showroom/drive.html

マイクロハイブリッド

他にもエンジンの補機を休ませることにより燃費を向上させる技術がある。


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MINI・マイクロハイブリッドやスズキ・エネチャージである。

もともとエンジンにはオルタネーターと呼ばれる発電機が搭載されており、エンジン出力から発電を行い12Vバッテリーを充電していた。これを通常は切り離し、ブレーキ時だけ回生ブレーキとして使用、発電してバッテリーを充電する。この電力は通常どおりライトやウィンカー、オーディオなど電装品に使用される。

純粋な意味では「ハイブリッド」とは呼べないが、燃費向上に寄与しているのは違いない。

http://www.suzuki.co.jp/taikan_enecharge/enecharge/

低炭素社会実現に向けて

ヨーロッパ車にハイブリッドが普及していないのは、その用途の違いによるものが大きい。ストップ&ゴーが多い日本においてエネルギー回生をする機会は多いが、連続的に高負荷がかかる高速走行が多いヨーロッパではエネルギー回生をする場面が少ない。電池が切れた重いバッテリーと発電機を腹に抱えて走るのは、かえって効率が悪くなってしまう。

燃費を向上させCO2排出を減らす、というのは自動車業界の命題である。一足飛びにEVやFCVといったところにいくには時間がかかり、その過渡期にハイブリッド・カーは重要な役割を果たすだろう。方式の違いでクルマを選ぶのも、楽しみのひとつにしたい。

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