NMB三田さんの「BL」漫画に批判殺到――実在の人物出す「ナマモノ」は名誉毀損?

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2015年08月06日 13:51  弁護士ドットコム

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アイドルグループ・NMB48のメンバー三田麻央さんが、7月下旬に放送されたテレビ番組「今夜くらべてみました」で、自作の「ボーイズラブ(BL)」作品を披露したことに対して、ネットで批判の声が集まった。


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「ボーイズラブ」とは、男性(少年)同士の同性愛を題材とした小説や漫画のことだ。番組内で三田さんは、BL好きが高じて、妄想するだけでは満足できず、「自分でマンガも書くようになった」と告白。番組MCのフットボールアワー・後藤輝基さんとチュートリアル・徳井義実さんを「カップリング」したBL作品を披露した。



少女漫画風に描かれた徳井さんと後藤さんのマンガの出来栄えに、出演者からは「本格的」「絵うまい」と絶賛の声が上がった。さらに、本人たちのアフレコ入りで作品のワンシーンが放送され、「キスしてみるか?」「なんかお前、かわいいな」といったやりとりをするシーンで大きな盛り上がりをみせた。



ところが、番組終了後、三田さんに対し、「BL界最大の禁忌を犯した」「絶対許さない」「金輪際、BL好きとか言うな」といった厳しい批判がツイッターに投稿された。実は、実在の人物を題材にしたBL作品は、愛好家たちの間では「ナマモノ」と呼ばれ、本人やファンの目に触れないところでひっそりと楽しむものとされているようなのだ。



「ナマモノ」をどう扱うべきかは、モラルの問題とも思えるが、この炎上を紹介したネットニュースの中には、名誉毀損や肖像権侵害が発生するおそれもあると指摘している記事もあった。実在の人物を「BL」の漫画にして公開することは、法的に問題があるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。



●肖像権侵害や名誉毀損の可能性は?


「肖像権とは、私生活上の姿を勝手に写真に撮られたり、これをみだりに公表されない権利のことを言います。



芸能人の場合は、この肖像を商用に使用する権利があり、これを特に『パブリシティ権』などと呼びます。



今回のケースは、プライベートな姿を撮影されて、無断で公表されたという事案ではないので、肖像権の問題ではないと考えます」



では、名誉毀損についてはどうだろうか。



「いわゆる『BL』という作品ジャンルは、過激な性的描写がある作品も少なくありません。そして、いわゆる『ナマモノ』においては、モデルとなった実在の人物の性生活を想起させることになります。



実際に送ってもいない性生活を、あたかも送っているかのような描写をされることで、描写しだいでは、その人の社会的評価が大きく影響を受ける可能性があります。



そのため、こうした『ナマモノ』を公表する行為については、社会的評価に大きな影響を及ぼすような場合、名誉毀損として、慰謝料請求の対象となる可能性があると思います」



ただ、今回、徳井さんと後藤さんは、番組内の一つのネタとして楽しんでいたようだ。



「今回のケースでは、特に問題はないでしょうね。あくまで仮の話ですが、全く承諾をとらないまま公開して、かつ徳井さんや後藤さんが寛容な気持ちを持つことができなかったとすれば、三田さんは、名誉毀損に基づく慰謝料を請求される可能性があったということです」



寺林弁護士はこのように分析していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:ともえ法律事務所
事務所URL:http://www.tomoelaw323.com/


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