ホーム > mixiニュース > ライフスタイル > 知られざるもうひとつの膵がん「膵神経内分泌腫瘍」“33年遅れ”で治療薬が国内承認

知られざるもうひとつの膵がん「膵神経内分泌腫瘍」“33年遅れ”で治療薬が国内承認

2

2015年08月07日 12:00  QLife(キューライフ)

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

QLife(キューライフ)

S・ジョブス氏も患った膵神経内分泌腫瘍。患者が国内で増加傾向に

九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 准教授の伊藤鉄英先生

 稀代の発明家、そして実業家のスティーブ・ジョブス氏。彼が膵神経内分泌腫瘍の全身転移で惜しまれつつ亡くなったのは、2011年のことでした。彼の膵臓に腫瘍が発見されたのは、さかのぼること8年前の2003年。一般的に膵がんは進行が速いとされていますが、ジョブス氏が罹患した膵神経内分泌腫瘍は、一般的な膵がんとは異なり、進行が遅い種類の疾患です。

 膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)のひとつである膵神経内分泌腫瘍は、日本では10万人当たり、年間で3〜4人が発症する比較的稀な腫瘍です。古くはカルチノイド腫瘍と呼ばれたほか、一部では“がんもどき”とも称されるなど、それほど予後の悪くない腫瘍だと考えられていました。しかし、近年では研究が進み、2010年のWHO分類では「NETはすべて悪性である」となっています。

 ノーベルファーマ株式会社が主催したセミナーで講演した、膵神経内分泌腫瘍研究の第一人者である九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 准教授の伊藤鉄英先生は「膵神経内分泌腫瘍の患者数は2005年から5年間で、およそ1.25倍に増加しています」と語ります。「超音波内視鏡が普及したことによって、症状が出る前の患者さんを診断できるようになったことが原因ではないかと考えられます」と伊藤先生。ゆっくりと進行するため、症状が現れたときには、転移が進んでいることも少なくないNETにおいて、診断技術の進歩は非常に大きなことだと語りました。

ノーベルファーマ塩村社長「誰もやらないような、ニーズの強い薬品開発を」

 膵神経内分泌腫瘍の治療は、手術療法が原則とされています。手術が不可能な場合は、腫瘍増殖の抑制をめざし、ホルモン療法や抗がん剤、分子標的薬による治療が行われます。治療薬のひとつに「ザノサー」(一般名:ストレプトゾシン)があります。このお薬は、海外では30年前から使用されていましたが、日本国内では未承認だったため、長らく個人輸入に頼らざるを得ない状況だったと伊藤先生は語ります。

 このザノサーの国内承認を2014年に取得したのが、今回のセミナーを主催したノーベルファーマです。同社はオーファンドラッグ(希少疾病医薬品)を中心に医薬品の開発を行う製薬企業。創業は2003年と比較的新しい会社ですが、2014年までの約10年間に承認された希少疾病用医薬品は10剤にのぼり、グローバル製薬企業のノバルティスファーマ社やグラクソ・スミスクライン社に次ぐ数です。

 同セミナーで講演したノーベルファーマの塩村仁社長は、「海外のガイドラインでは当たり前のように使用されていたザノサーですが、日本においては未承認薬状態であり、33年のドラッグラグともいえる状況にありました。我々は誰もやらないような、ニーズの強い薬品を開発していきます」と、希少疾病患者の声を受け、医薬品の開発に取り組む姿勢を強調しました。

 ザノサーの登場により、NET患者さんの選択肢は確実に広がりました。しかし、さまざまな理由により顧みられない病気、そして治療法は数多く残されています。希少疾病医薬品の開発に注力する同社の取り組みが、今後も期待されます。(QLife編集部)

関連リンク

⇒元の記事を読む

    関連ワード

    あなたにおすすめ

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定