「役者になりたい」定年前に会社を辞めてしまった57歳の夫・・・妻は離婚できるか?

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2015年08月15日 12:51  弁護士ドットコム

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「夫が突然、役者になりたいと言って退職してしまった」。定年まぎわに自分の人生を問い直す人は多いが、30年勤めた会社を定年前に辞め、57歳から俳優を目指すという人は珍しいだろう。そんな気ままな夫にあきれ果てた妻が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーで悩みを打ち明けていた。


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妻の投稿によると、夫は「全てのローンを支払い、子どもも成人し定職についたから親の役目は終わった。余生を楽しみたい」と主張して、週に1度、俳優養成学校に通うかたわら、アルバイト、パチンコ、お酒三昧といった学生のような生活を送っているという。



妻は、お金に余裕がない中で、一切相談もなく会社を辞めた夫についていけず、離婚を考え始めたようだ。父親に呆れている子どもたちも、両親の離婚には反対していない。



この相談のように、夫が家族に相談もなく退職し、自分の夢を追っているということを理由にして、離婚できるのだろうか? 小澤和彦弁護士に聞いた。



●妻の本当の不満・不安はどこにある?


「夫が将来を真剣に考えているか否か、本当に役者になれるのか否か。そういった点については、正直なところ、誰にも判断できません。晩年になってから、役者として成功を収めている人もいないわけではありません。『夫の考えが誤っている』というだけでは、離婚理由になるとはいえないのです」



しかし、妻にしてみれば、いきなり会社を退職してしまった夫との今後の生活について、不安を覚えても仕方ないのではないか。



「そもそも妻の不満・不安は、自分に何の相談もなく、勝手に夫が退職や今後の道を決めてしまったことにあるのではないでしょうか。もちろん、夫が役者を目指したという考えは、妻にとって突拍子もないことでしょうが、相談がなかったことが、根本的な原因ではないかと思います」



もし、夫から真剣な相談の一つもあれば、妻の感情も違っていたかもしれない。



「夫婦は生活共同体として経済的に一体ですから、夫の仕事や退職後の進路は、妻にも当然ながら影響が出てくるわけです。夫婦としてどのような老後を送るのか、生活設計については、夫婦間のきちんとした話し合いが必要です。



ところが、今回のケースの夫は、話し合いをしないで、勝手に退職等をしてしまいました。しかも、経済的に非常な不安を生じさせる行動をとっています。その点において、婚姻を継続しがたい事情があるといえます。



ですので、結論としては、離婚理由があるということになります」



小澤弁護士はこのように話していた。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
小澤 和彦(おざわ・かずひこ)弁護士
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会委員。
事務所名:弁護士法人東京多摩法律事務所
事務所URL:http://www.tokyotama-lawfirm.com


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