別人すぎる新婦の「スッピン」夫がショック受けて提訴! 慰謝料請求は認められるか?

0

2015年08月22日 09:21  弁護士ドットコム

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

弁護士ドットコム

記事画像

妻の「スッピン」を見た夫が慰謝料を求める――。そんな驚きの裁判をアルジェリアの男性が起こしたと海外のニュースサイトが報じ、話題となった。


【関連記事:会社の食堂で「ノンアルコールビール」 昼休みに飲んだだけでクビになる?】



イギリスのニュースサイト「Mirror.co.uk」によると、事件が起こったのは結婚式翌日の朝。男性は、そのとき初めて妻の「スッピン」を見たそうだ。化粧をしているときの顔とのあまりの違いに、隣で眠っているのが妻と分からず、「盗むために家に忍び込んだ泥棒だと思った」そうだ。



新郎は「精神的なダメージを受けた」として、妻に対して1万3000ポンド(約250万円)の損害賠償を求めているという。もし日本で同様の裁判が起こった場合、男性の請求が認められる可能性はあるのだろうか。また、スッピンの顔があまりにも違うという理由で、離婚することは認められるのか。男女の法律問題に詳しい田村ゆかり弁護士に聞いた。



●女性がメイクで美しくなることは、社会の共通認識


「いわゆる慰謝料請求について定めているのは、民法709・710条です。



故意または過失によって他人に精神的苦痛を与えた者は、これによって生じた損害を賠償しなければならない、という内容です」



では、妻のスッピンにショックを受けて、夫が精神的苦痛を受けたような場合も、慰謝料請求が認められるということだろうか。



「精神的苦痛を被ったからといって、なんでもかんでも慰謝料が支払われるわけではありません。



たとえば、『告白したら振られて傷ついたから慰謝料払え!』と請求したら慰謝料が支払われるかというと、もちろんそんなことはないですよね?



慰謝料請求が認められるのは、『違法』な行為に限られます」



今回のケースでは、違法といえるのだろうか。



「メイクをした顔とスッピンが違い過ぎることが『違法』といえるかというと、結論としては難しいでしょう。



違法な行為とは、たとえば刑罰法規に反する行為や、法に直接違反する行為でなくても、社会的にみて許容されない行為をいいます。



女性がメイクをすること、メイクによってスッピンよりも美しくなることは、社会の共通認識です。スッピンとメイクした顔が違いすぎたからといって、違法とまでは言えないでしょう」



慰謝料を求めることは難しいようだ。



●離婚することも難しい


では、男性が離婚したいといったら、認められるだろうか。



「離婚事由については、民法770条が定めていて、今回は、そのうちの『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』に当たるかが問題となります(770条1項5号)。



やはり、今回のような事情だけでは難しいでしょう。



別居を3〜5年継続した上であれば、婚姻関係が実質的に破たんしていることも加味され、認められるかもしれませんが・・・」



田村弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
経営革新等支援機関。2015年度沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/


    前日のランキングへ

    ニュース設定