「嵐」ライブの周辺ホテル「宿泊権」がネットで売買――他人名義で泊まってもいいの?

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2015年09月05日 09:21  弁護士ドットコム

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人気アイドルグループ「嵐」のコンサート「ARASHI BKLAST in Miyagi」が9月後半(19、20、22、23日)、宮城県利府町の宮城スタジアムで開催される。その影響で、仙台市を中心にホテルの予約が軒並み埋まっているという。関東などから遠征組のファンたちが押し寄せるためだ。


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ネットのオークションサイトでは、期間中の仙台市内のホテル「宿泊権」が多数出品されている。落札後に名義変更ができるものもあるが、なかには「宿泊者の変更ができなかったので、女性名義での宿泊になります」と書いているものもあった。



このような場合、宿泊権を落札した人は、予約した「他人」の名義で宿泊することになりそうだが、法的に問題はないのだろうか。落合洋司弁護士に聞いた。



●立件される可能性はほとんどないが・・・


「他人になりすました宿泊は、旅館業法違反に問われる可能性があります」



落合弁護士はこう指摘する。



「旅館業法6条は、1項で『営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない』、2項で『宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない』と定めています。



そして、同法12条には『第6条第2項の規定に違反して同条第1項の事項を偽つて告げた者は、これを拘留又は科料に処する』と刑事罰の規定もあります。



拘留は1日以上30日未満の刑事施設での拘置(身柄拘束)、科料は1000円以上1万円未満とされています。



宿泊の際、宿泊カードに必要事項を記載するよう求められるのは、こうした規定があるからです。



その際に偽名を使うなど『偽って告げる』行為をすると、上記のような旅館業法違反に該当します」



予約をした他人の名義で宿泊することは、犯罪にあたる可能性があるわけだ。



「ただ、従来の立件例では、公安事件で非公然活動家を摘発するのに使われることが多く、一般人が立件対象になる例は皆無に近いです。



実際には、適当に申告して宿泊している人は、かなり多いと推測されます。



とは言え、違法行為は良くありません。予約者と宿泊者が異なる場合は、予約した人が来られなくなったと説明し、宿泊者の正確なプロフィールを告げて宿泊すべきだと思います」



落合弁護士はこのように述べていた。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
落合 洋司(おちあい・ようじ)弁護士
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。
事務所名:泉岳寺前法律事務所
事務所URL:http://d.hatena.ne.jp/yjochi/


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  • 宿泊時に「○○名義で予約しましたが事情があって●●が泊ります」と言えば良いだけでは?名前が違うから泊めないなんてほざくホテルは受付で暴れてやればいい。
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