81歳男性「40年間」無免許運転の疑い――罪の重さも「40年分」になるのか?

1

2015年09月14日 11:31  弁護士ドットコム

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

弁護士ドットコム

記事画像

無免許運転の容疑で9月上旬、福岡県警に逮捕された81歳の男性が、40年間以上も無免許で運転していた疑いがもたれている。


【関連記事:「相席居酒屋」で女性に「完全無視」されガッカリ・・・店に返金を求めることは可能?】



報道によると、男性は、8月22日から26日にかけて3回にわたり、太宰府市内などで無免許運転をした容疑で逮捕された。県警の調べで、記録が残っている1970年ごろから免許証の取得や更新がなく、40年間以上も無免許だった疑いが浮上している。



仮に、40年間以上にわたり無免許で運転していたことが本当なら、罪の重さも40年分になるのだろうか。刑事事件に詳しい前島申長弁護士に聞いた。



●量刑を判断する際の要素になる


「結論から言えば、40年間にわたって、無免許運転を繰り返したからといって、罪の重さがそのまま40年分になるわけではありません。ただ、長年、無免許運転を繰り返していたとして、量刑を重く判断する要素として働くことになります」



前島弁護士はこのように述べる。具体的に、量刑はどうやって判断するのだろう。



「裁判所は、犯罪の内容、動機、手段、方法、結果、社会的影響とともに、被告人の年齢、性格、反省の態度などを総合的に考慮して、量刑を判断しています。



また、裁判所には、過去の同種事案の裁判例に関するデーターベース(一部は電子化されています)があります。担当裁判官は、過去の同種事案の量刑を参考にして、本件についても量刑を判断することになります」



●実刑判決はまれだが・・・


無免許運転の場合は、どんなことが判断材料になるだろう。



「無免許運転を行った場合、免許の取り消しなどの行政処分のほかに、道路交通法により罰則を課せられることになります。道路交通法では、無免許運転をした者に対して、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定しています。



無免許運転罪の量刑に際しては、(1)同種前科や交通違反歴があるか、(2)無免許運転をする必要性(たとえば急病人を搬送する必要性)があったか、(3)人身事故が発生しているかなどが重要な判断材料となります。



無免許運転罪については、そのほとんど(90%以上)が、略式裁判により罰金刑に処せられています。公判請求された場合でも、実刑判決が下されることは極めてまれと思われます。



本件の場合、40年間の長きに渡り、無免許運転を繰り返したという点は、当然量刑を重く判断する要素として働きますので、その他の事情によっては、公判請求される可能性があると考えられます。



また、男性が、同時に人身事故(特に死亡事故や重篤な後遺症が残る事故)を起こしていたような場合には、過失運転致死傷罪に問われることになりますので、実刑判決が下される可能性も出てくると思われます」



前島弁護士はこのように分析していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
前島 申長(まえしま・のぶなが)弁護士
前島綜合法律事務所代表弁護士 大阪弁護士会所属
交通事故・労災事故などの一般民事事件、遺産分割・離婚問題などの家事事件を多く扱う。交通事故については、被害者側の損害賠償請求の他に加害者側の示談交渉・刑事弁護も扱う。
事務所名:前島綜合法律事務所
事務所URL:http://maeshima.lawer.jp/


    前日のランキングへ

    ニュース設定