血液中の血小板が異常に増加する本態性血小板血症(ET)とは?

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2015年10月20日 22:10  QLife(キューライフ)

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脳卒中や心筋梗塞の知られざる危険因子

骨髄増殖性腫瘍患者・家族会 小瀬良克也さん
「より多くの情報で患者さんに安心材料を」

 血液の成分としてよく知られるものに、赤血球、白血球、血小板の3つがあります。赤血球は酸素を全身に運搬する役割があり、白血球は細菌やウイルスなどの病原体を除去します。そして血小板は、出血時に出血場所を塞ぐことで血を止める役割を持っています。通常、0.001mlあたり15〜40万個ほど存在する血小板が45万個以上、時には100万個を超え、血小板の数のみが異常に増加してしまう病気が本態性血小板血症(ET)という病気です。国内では、ETの患者さんは3万人いると推定され、1年間に約3,000人の患者さんが新規に発症していると推定されています。脳卒中や心筋梗塞の知られざる危険因子とも言われるETについて、シャイアー・ジャパン株式会社が10月20日にメディアセミナーを開催しました。

 ETを発症し、血小板が増えてしまうと、血栓が生じやすくなり、脳や消化管、粘膜での出血が起きやすくなります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞・脳卒中などリスクが高くなるほか、細い血管が詰まることで頭痛や視覚異常、耳鳴り、めまいなどの症状や貧血、肝臓や脾臓が腫れる場合があります。同セミナーで講演した順天堂大学 医学部内科学血液学講座 主任教授の小松則夫先生は「脳卒中の患者さんのうち、約0.5%にETの患者さんがいると考えられます」と語ります。ところが、高血圧や糖尿病、脂質異常症と違って、ETは脳心血管の病気のリスクファクターとしてはあまり知られておらず、積極的な治療が行われていない、と小松先生は指摘します。「ETは、骨髄検査や遺伝子検査が必要で、血液内科にかからないと診断に至らないことがあります。さらに、患者さんの約3〜4割は症状がなく、また約2〜3割の患者さんには、耳鳴り、めまいなどが起こりますが、更年期障害や鉄欠乏性貧血などと診断され、治療の機会を逃してしまっている可能性があります」(小松先生)

 ETの治療には、血小板の数を減らす、もしくは血を固まりにくくする治療が行われます。「欧米のデータでは、ETが発症してからの生存期間の中央値は約20年です。早期に治療を開始し、血栓症や出血性疾患などの合併症を予防することが大事です」と小松先生は語ります。同社がET患者さんに行った調査でも、治療開始前に30%以上の患者さんに「だるさ」「集中力の低下」「無気力」「視力障害」「頭痛」などの何らかの症状が見られました。血小板を減らすお薬で治療を開始した後に症状の程度を聞いたところ、多くの症状で程度の改善がみられています。

健康診断で見過ごしがちな血小板数(PLT)の数値

 さらに同セミナーでは、ETの患者さんの骨髄増殖性腫瘍患者・家族会(MPN-JAPAN)の小瀬良克也さんが講演。「診断されたきっかけは会社の健康診断でした。その当時からも、鼻血や歯ぐきからの出血が多かったり、風邪をよく引いていました。診断当時(2001年ごろ)はETに関する情報も少なく、また現在と違い、治療法が確立されていなかったので、病院により治療法が異なるなど、不安でいっぱいでした。その間も頭痛は続き、『いつ血栓ができてしまうのか』という不安から、睡眠薬が手放せない日々を過ごしていました。今現在は血小板の数を減らすお薬を飲んでおり、血小板の数も約50〜60万とコントロールはできている状態です。今後もこのセミナーのような情報提供を盛んにすることで、患者さんに安心材料を与えていただければと思います」と語りました。

 日本人間ドッグ学会によると、血小板数の基準範囲は「13.0〜34.9万個」とされています。皆さんも、血液検査や健康診断結果で「血小板」もしくは「PLT」の結果にも意識を向け、血小板が異常に増加する本態性血小板血症(ET)という病気があることを思い出していただければと思います。(QLife編集部)

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このニュースに関するつぶやき

  • 入院中、血小板が少ない(ほとんどない)人が同室にいた・・・。世の中うまくいかないもんです。多分血液内科の先生が一番思ってるんだろうな〜。
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