単身向けマンションでの「同棲」は追い出される可能性アリ

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2015年11月09日 06:51  弁護士ドットコム

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(弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに編集部が作成しました)


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ワンルームなど単身向けの賃貸マンションで、いつの間にか「同棲」しているカップルは珍しくもないはず。でも、法的には「問題あり」なようです。大家さんからの「どうしたら追い出せるの?」という相談について、加藤 寛崇弁護士に聞きました。


 

Q. 「同棲相手と住人を追い出すにはどうしたらいい?」


単身者向けの賃貸オーナーをしておりますが、1年以上、同棲している住人に困っています。


管理会社経由で、注意を促してもらっていますが、「よく遊びに来ているだけで、一緒に住んでいない」と虚偽の説明をしているようです。


でも、防犯カメラの画像もありますし、洗濯物も2人分が干されていたり、ベランダで咳払いしてタバコを吸っている声からも「よく遊びに来ている」という程度でないことはわかります。


契約の義務違反ですし、嘘をつかれたことで信頼関係も成り立ちません。


同棲相手に退去してもらうだけでなく、住人も即刻追い出したいのです。このような場合、どうしたらいいのでしょうか?


A.  「何度か注意しても続くなら、賃貸借契約の解除も」


賃貸借契約において、「借主は、貸主の承諾がない限り第三者を同居させてはならない」などの第三者の居住を禁止する合意(契約書の条項)があるなら、契約者以外が居住するのは、契約で定めた利用方法に違反することになります。


逆に、このような合意(条項)がないなら、契約違反になりません。


借主は、賃借物件を転貸したり賃借権を譲渡したりすることはできませんが(民法613条)、同居させているだけなら、転貸にも賃借権の譲渡にも当たらないからです。


そして、借主が、第三者の居住を禁止する合意に違反した場合には、原則として、賃主は、賃貸借契約を解除して、明け渡しを請求できます。借主は、契約で定められた利用方法に従って賃借物件を使用しなければならないからです。


そのときは、賃主は、同居人に対しても併せて明け渡し請求が可能です。


ただし、前提として、借主に対して第三者の同居を止めるよう催告し、一定期間(1、2週間程度が目安)経過しても同居を止めないときに初めて解除が可能となり得ます。


次に、借主に利用方法の違反があっても、「信頼関係が破壊される程度ではない」と判断されれば、解除は認められません。


ここでいう「信頼関係」とは、貸主が主観的に借主を信頼できるかどうかということではなく、客観的に賃貸借契約の継続が困難となる事情があるか、という程度の意味です。


具体的事情との兼ね合いではありますが、貸主が何度か注意しても借主が第三者の同居をやめなかった事案で「用法違反」による解除が認められた例もありますので、何度か注意しても同棲が続くのであれば、賃貸借契約の解除をしてもいいでしょう。


ただし、訴訟で明け渡し請求までするのであれば、貸主の側で、第三者が同居していることを証明する必要があります。




【取材協力弁護士】
加藤 寛崇(かとう・ひろたか)弁護士
東京大学法学部卒。2008年弁護士登録(三重弁護士会)。労働者側で労働事件を扱うほか、離婚事件など家事事件も多数扱う。日本労働弁護団、東海労働弁護団に所属。

事務所名:三重合同法律事務所
事務所URL:http://miegodo.com/


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  • 単身向けじゃなくて、「単身限定」とか謳ったらどうだろう。
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