範宙遊泳の新作は「インターネット」が題材、演劇に「絵文字」を導入

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2015年12月02日 19:00  CINRA.NET

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範宙遊泳『われらの血がしょうたい』チラシビジュアル ©たかくらかずき
演劇集団「範宙遊泳」の舞台『われらの血がしょうたい』が、12月4日から神奈川・横浜ののげシャーレで上演される。

範宙遊泳は、2007年に山本卓卓が旗揚げした劇団。全ての作品の脚本と演出を山本が担当し、東京を拠点に海外でも公演を行っている。昨年発表した『うまれてないからまだしねない』は『第59回岸田國士戯曲賞』の最終候補にノミネートされたほか、今年9月には代表作『幼女X』と同作の後日談を描いた『楽しい時間』を2本立てで上演した。

範宙遊泳にとって約1年半ぶりとなる新作公演『われらの血がしょうたい』は、現代におけるインターネットの存在を題材にした作品。来年1月にはインド公演を予定しており、言語や人種といった様々な要素の異なる外国での上演を想定した作品になるという。

作・演出は山本、音楽は千葉広樹(Kinetic、サンガツ、rabbitoo)が担当。また、『うまれてないからまだしねない』にも参加したアートディレクターのたかくらかずきが美術監督を務め、舞台美術に「絵文字」を取り入れるという。チケットは現在販売中。インド公演の詳細は続報を待とう。なお範宙遊泳は、『うまれてないからまだしねない』の全編の模様をYouTubeで期間限定無料公開する予定だ。

■山本卓卓のコメント
高速で発展する文明に、乗り遅れたというより追い越してしまった人がいて、その人が、だからといって人類の脅威やカリスマになるのではなく、あるいはドン・キホーテのようにヘマばかり続けていくのではなく、ただただ過ぎていく時間を前に畏れたり茫然としたりする中で、容易く絶望しない勇気を持っていく。

かつてインターネットは匿名の場所だと思っていた。けれどもほんとうはたぶん違う。ここでは無人島で寝転んで陽を浴びるような、そんな孤立した時間はたぶん流れていない。僕たちはそんな情景を“のどか”だと思うことすらなくなった。匿名じゃない。みんな有名になった。忙しくなったし忘れっぽくなった。たぶんもう後戻りはできない。やっぱり進んでいくしかない。血よ、いったいどこに繋がっているのか。
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