これぞ、発想の転換!? 大気中から二酸化炭素を集めて活かすアプローチとは?

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2015年12月13日 06:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

地表を覆う大気のうち、約0.03%を占める、二酸化炭素。

外線を吸収する働きがあるため、地球温暖化をもたらす原因のひとつとされ、世界各国で、その排出削減に向けた取り組みがすすめられている。

大気中の二酸化炭素を直接収集

チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)から、2009年に独立したスイスのベンチャー企業Climeworks(クライムワークス)は、世界で初めて、大気中から二酸化炭素を回収する人工システムを開発した。

大気中の二酸化炭素を直接取り除く手法『DAC(ダイレクト・エアー・キャプチャー)』により、特殊フィルターに二酸化炭素を吸着させて大気から分離する仕組みで、モジュール型の工場や既存の産業施設にもフレキシブルに導入できるのが利点だ。

Climeworksは、スイス連邦エネルギー庁(SFOE)からの助成のもと、現在、大気中から年間900トンの二酸化炭素を回収する施設を、チューリッヒ州南東部のヒンヴィル(Hinwil)に建設中。

2016年半ばから、本格的な稼働を開始する予定だという。

食・農業・エネルギーに、二酸化炭素を有効活用

Climeworksのシステムを通じて回収された二酸化炭素は、食・農業・エネルギーなど、様々な分野での転用が期待されている。

食の分野では、二酸化炭素を水やソフトドリンクなどに溶かして発泡性を付与したり、包装袋の二酸化炭素濃度を高くすることで、生肉や野菜の鮮度を保つことが可能だ。

また、二酸化炭素を固体にすれば、ドライアイスとして、食品の輸送時の冷蔵・冷凍などに幅広く利用できる。

農作物の栽培においても、二酸化炭素の有効活用が見込まれる。Climeworksによると、回収した二酸化炭素を温室菜園に注入することで、野菜の生育を20%程度高めることができるそうだ。

二酸化炭素から合成燃料を生成する取り組みも始まっている。

独大手自動車メーカーのアウディ(Audi)は、2014年から、『DAC(ダイレクト・エアー・キャプチャー)』による二酸化炭素回収の技術開発においてClimeworksと提携し、二酸化炭素と水から生成する合成燃料の研究開発を進めている。

これが実用化されれば、水素や電気に代わる新たなクリーンエネルギーが、自動車用燃料として加わることとなるだろう。

「減らす」だけでなく「活かして使う」という発想も

地球全体の二酸化炭素の排出量の伸びは、年々、鈍化傾向。

英イースト・アングリア大学(University of East Anglia)らの研究結果によると、2015年の排出量は、世界経済成長期以降初めて、前年に比べて減少する見通しだ。

地球温暖化や気候変動を食い止めるためには、二酸化炭素をはじめとする温暖効果ガスの排出を抑制するのはもちろん、すでに大気中に存在する二酸化炭素を効率的に集め、有効に活用しようとする試みも、まだまだ検討の余地がありそうだ。

【参考・画像】

Climeworks

※ Out of Thin Air – Audie Encounter

※ Global CO2 emissions projected to stall in 2015 – University of East Anglia

このニュースに関するつぶやき

  • 既にコーヒーのデカフェ(カフェイン抜き)や化学合成の原料など、有効活用は昔から継続されておりやす。 今に始まった発想ではござんせん。 昨今の無意味な空騒ぎが生んだオモチャです
    • イイネ!2
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