年末のこの時期、1年を振り返り、新年の抱負を考える始める人も多いでしょう。しかし、そんな時、配偶者の思いがけない秘密に直面したら、抱負の1つに「離婚」が加わってもおかしくはなさそうです・・・。
ある男性は、結婚前に消費者金融から借金をしていました。妻にはずっと内緒にしていましたが、あるとき発覚。「全額返済済みですが、妻からは『知っていたら結婚しなかった』と言われました。離婚されるのではないかと不安です」といいます。
結婚前の隠し事やウソは、離婚理由になってしまうのでしょうか。小澤和彦弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A. ウソをついても、ただちに離婚理由にはならない
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「結婚式では『君を絶対に幸せにする』と言っていたのに、全然幸せじゃない! 結婚して後悔した!」という理由で、離婚相談にいらっしゃる方もいます。
ただ、このような抽象的な約束違反自体は、離婚理由にはなりません。「相手が約束をやぶって、なぜ幸せでないのか」、その具体的な中身によって、離婚が認められるか否かが判断されます。
ご相談者のように、借金歴を隠していた場合はどうでしょうか。
既に借金は返済しているということですが、仮に「まだ返していない多額の借金があり、妻にバレた」「借金癖があり、結婚後もこっそり借金している」などの場合は、離婚理由になる可能性があります。
なぜなら、こうした問題は単に「過去にあった事実」というだけではなく、現在の生活にも影響を与えかねないからです。夫の借金を返済するために、一家の生活が困窮したり、夫に借金癖があると知った妻が、安定した生活ができないと不安になるかもしれません。
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借金で苦労をかける夫に妻が愛想を尽かし、別居にまで至っているような場合は、結婚が破たんしているとして離婚が認められる場合があります。要するに、配偶者のウソや約束を破ったことが、結婚生活を破たんさせるほどの影響力があるかどうかが重要なポイントになるということです。
さて、実は民法には、「詐欺や脅迫によって結婚した場合、婚姻の取り消しを裁判所に求められる」と定めた条文があります。
「借金歴を黙っていたことも詐欺になるのでは?」と思うかもしれませんが、何でもかんでも詐欺になるわけではありません。相手方が自由意思に基づいて「この人と婚姻生活を営む」という点について錯誤(真実を知っていれば結婚しなかったと一般的にもいえる場合)がなければ詐欺にはなりません。
ですので、実際上は婚姻の取り消し事由にあたるような詐欺が存在することは極めてレアで、判例もないと思います。例えば、結婚相手が双子で、自分は長男と結婚するつもりだったのに、実は長男と言われていた人物が次男で、自分は騙されていた、というような極端な事例でしか考えにくいです。
【取材協力弁護士】
小澤 和彦(おざわ・かずひこ)弁護士
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会委員
事務所名:弁護士法人東京多摩法律事務所
事務所URL:http://www.tokyotama-lawfirm.com/
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