性的関係のない「セカンドパートナー」ーー夫に離婚されてしまう時

46

2016年01月02日 09:12  弁護士ドットコム

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

弁護士ドットコム

記事画像


浮気する勇気も相手もいないけれど、ちょっとしたトキメキは欲しいーー。既婚者の中には、そう言って、異性の友人と、食事やデートを重ねて親密な関係を築く人もいるようです。そんな「身体の関係はない」、あくまで心の結びつきだけの相手のことを「セカンドパートナー」ということもあります。


ある40代女性はネットで、「結婚して20年、夫婦関係が冷め気味で1年以上セックスレス。でも時々、元カレと食事をして、心が満たされています」と告白しました。


「『友達以上恋人未満』で身体の関係はないです」と言いますが、もし夫にバレたら、法的な「不貞行為」として、離婚理由となってしまうのでしょうか? 富永 洋一弁護士に詳細な解説をしていただきました。



A. あまりに親密な場合、注意が必要です。


ご相談者は、「元カレと時々会うように」と言っていますが、体の関係はないということです。こうした性的関係を伴わないデート相手を、「セカンドパートナー」などと呼ぶこともあるようですね。


そのような相手と時々デートをしていても、性的関係がないなら、基本的には交友関係の範囲内として違法性は認められないでしょう。慰謝料の支払い義務はなく、離婚原因とはならないのが原則的な考え方といえます。


しかし、ただの交友関係として片づけるには度を超している場合は、注意が必要です。


たとえば、性的関係がないとはいえ、相手宅に外泊したり、何日も二人きりで旅行に行ったケース。また、相手といる時間が多過ぎて夫婦共同生活をないがしろにしたなどのケースも、「婚姻共同生活の平和の維持」を違法に侵害したとして、慰謝料の支払い義務が認められたり、離婚原因と判断される危険性も十分に考えられます。


では、ご相談者と元カレの関係がさらに進み、性的関係を持った場合はどうでしょうか。


これについては参考になる裁判例があります。一九七九年三月三〇日の最高裁判決によれば、夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、それが自然の愛情によって生じたかどうかなどの事情にかかわらず違法となり、他方配偶者に対して慰謝料を支払う義務があるとしています。この判決に基づけば、ご相談者が元カレと性的関係を持つことは違法となり、夫に慰謝料を支払う義務が発生し、離婚原因にもなります。


ところで、ご相談者は「夫婦関係が冷め気味で、一年以上セックスレス」と言っています。一九六九年三月二十六日の最高裁判決によれば、配偶者と第三者が肉体関係を持った場合でも、その配偶者間の婚姻関係がすでに破綻していたときは、原則的に、慰謝料は発生しないと判断しています。客観的に見ても婚姻関係が既に破たんしていたといえる場合は、慰謝料が発生しない可能性もあるということです。


ただ、ご相談者のように、夫とセックスレスだったとしても、それだけで婚姻関係が破たんしていたとまでは認められないケースが多いでしょう。




【取材協力弁護士】
富永 洋一(とみなが・よういち)弁護士
東京大学法学部卒業。平成15年に弁護士登録。所属事務所は佐賀市にあり、交通事故、離婚問題、債務整理、相続、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。
事務所名:ありあけ法律事務所
事務所URL:http://ariakelaw-saga.com/


このニュースに関するつぶやき

  • ('A`)彫り師のニュースもだが自己価値観による自分勝手は大いに結構。但し他人の批判は覚悟しないとな。
    • イイネ!8
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(37件)

ニュース設定