自動的に親子になれないの? 子連れ再婚「養子縁組」のメリット・デメリット

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2016年01月18日 11:01  弁護士ドットコム

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子連れ再婚をするとき、当事者の方が悩むのが、子どもの「姓」と「養子縁組」の問題です。


再婚が決まった女性から、「8歳の長男と、相手が法的にきちんとした『家族』になるため、養子縁組をした方がよいのでしょうか?」と、弁護士ドットコムの法律相談に相談が寄せられました。


子連れ再婚には、どんな手続きが必要なのでしょうか。伊藤 俊文弁護士に詳細な解説をしていただきました。


A.  「再婚相手と子どもの「養子縁組」で、法律上の親子関係が認められます」


子連れ再婚では、子どもの「姓」と、再婚相手との「養子縁組」についてよく考える必要があります。


まず「姓」については、女性が再婚して相手の戸籍に入った場合、女性は再婚相手の姓を名乗ることになります。しかし、子どもも一緒に名乗れるわけではありませんので、何も手続きをしないと、母親の姓と異なった状態になります。


子どもが母親と同じ姓を名乗りたい場合は、再婚相手と養子縁組をするか、家庭裁判所の許可を得て、子どもが親の戸籍に入る旨の届け出をする必要があります。


「養子縁組」をすると、法律上の親子関係が発生します。再婚相手は、親として子どもの扶養義務を負うので、仮に母親が不慮の事故などで亡くなっても、子どもが路頭に迷うようなリスクは避けられるでしょう。


また、再婚相手に財産があれば、死後、相続により財産を得ることもできます。


ただ、必ず養子縁組をするべきとは言いきれません。扶養義務は、「親が子どもに大して負う義務」だけでなく、実際は「子どもが親に対して負う義務」でもあります。


生活が困窮する親族に対しては、その人と一定の親族関係にある人が、経済的な援助をする法的な義務があります。養子縁組をすれば、将来、子どもが再婚相手を扶養することになる可能性があるのです。


また、養子縁組をすると、自由に親子関係を解消することはできません。例えば、母親が再婚相手と離婚しても、子どもと再婚相手との間の親子関係は存続します。親子関係を終了させたければ、別途、離縁の手続きが必要です。


ちなみに、養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。特別養子縁組の場合、子どもと実父との親子関係は終了します。


一方の普通養子縁組は、実父親とも親子関係が続くため、子どもの扶養義務は、実父と再婚相手(養父親)それぞれが負います。


扶養義務の順序は、当事者間で決まらなければ、裁判所が決定します。判例では、養親が実親に優先して負うと考えられています。


養子縁組をすることで、再婚相手と子どもは相互に様々な権利義務を負うことになります。養子縁組をするべきか否か考える際は、よく検討する必要があるでしょう。




【取材協力弁護士】
伊藤 俊文(いとう・としふみ)弁護士
大阪府出身。名古屋大学法学部卒。平成17年10月大阪弁護士会登録(58期)。平成17年10月〜平成20年12月大阪市内の法律事務所にて勤務弁護士として従事、平成21年1月フェアリー・ウェル法律事務所にパートナー弁護士として合流。
事務所名:フェアリー・ウェル法律事務所
事務所URL:http://www.fairywell-law.jp/


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