ビジネスパーソンなら知っておきたい 身になる乱読術

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2016年04月04日 18:02  新刊JP

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『No.2という働き方』著者の細島誠彦さん
書店にいけば、嫌というほど平積みになっている、ビジネス書や自己啓発本。最近、低迷しがちなモチベーションを上げようと、数冊買って読んでみるも、読んだこと自体に満足してしまい、結局何も変わらず終いということはないでしょうか。
 「読んで終わり」にならないため、そして何より自らのビジネススキルを高めるためにも、読書の仕方には工夫を凝らしたいところです。

 『No.2という働き方』(日本経済新聞出版社刊)の著者、細島誠彦さんはビジネスパーソンとしての価値を高めるために「組織の中でナンバー2になること」の重要性を説いており、さらには「ナンバー2として必要な能力は何か」を考えて読書することで、インプットの質が上がるとしています。

 細島さん自身も実践しているというその読書法についてお話を聞きました。

――細島さんの場合、「こんなナンバー2になりたい」というイメージをどのように固めていきましたか。

細島: 身近なところに目標となる人がいれば良かったのですが、残念ながら当時の私はそのような環境にいませんでした。なので、もっぱら「本」を頼りに目標イメージを固めていきました。

子どものころから歴史小説を読むのが好きだったのですが、社会人になってからも、土方歳三や孟嘗君などが出てくる書物はよく読んでいましたね。

彼らは会社を経営していたわけではありませんが、巧みに組織を作り上げていった先達です。いざ自分が組織を作っていくという局面に立たされたときに、「土方なら、こんなときどう考えて、どう動いただろう」と想像しながら仕事をすることもありました。

――「本から必要な知識を得る」という意味では、ナンバー2としての必須スキルの一つである、マーケティングの学び方についても書かれていました。細島さんの場合、どのようにマーケティングを身につけていったのですか。

細島:マーケティングについては、全体像をつかむことが重要です。でも、既存の本一冊で全体像を学ぶのは難しい。フレームワークの説明に終始したもの、様々な種類のマーケティング戦略についてだけ言及しているもの等が多いからです。

私の場合、市場−戦略−戦術という一連の流れが見えてくるようになるまで、なるべく広い範囲を扱ったマーケティング本を乱読するという方法をとりました。全体像をつかもうとするなかで、自然と細かい内容についても色々分かっていきましたね。

――ただ、本を読むだけですぐに実践できるというほど、マーケティングは易しいものではないですよね。

細島:はい、マーケティングの特性上、本を読んだだけでは、なかなか実務に反映することができません。

こればかりは実践経験を積むなかで、「どうすればうまくいくのか」「なぜ、あのときは失敗したのか」「どのように売っていくべきなのか」といったことを肌感覚で理解していくしかありません。
その過程で、また分からないことが出てきたら本を読み、そこで得た知識を実践してみる……ということを愚直に繰り返して、徐々にマーケティングの全体像を理解していったという感じです。

――ナンバー2にとって、もう一つの必須スキルである「シンプルに考える」という力を伸ばすためには、どのような学習をすればよいのでしょうか。

細島:ロジカルシンキングを身につけるのがいいと思います。この分野は良書がいくつか出ていますので、まずはそれらを2、3冊読み、書かれていることを真似しながら、実務に反映させれば、すぐに身につくでしょう。

具体的には、「一つの課題を二つの課題に分け、そこからどんどん掘り下げて考えてみる」ということをやってみる。

自分の本の中でも書きましたが、たとえば「利益を最大化する」という課題があるのなら、それを「売上を最大化する」「コストを最小化する」という二つに分ける。そして、この二つをさらにどんどん掘り下げていくのです。

このようなトレーニングを繰り返すことで、普段何かを考えるときにも、「本質的に重要なこと」が二つぐらいパッと思い浮かぶようになります。

――先ほどマーケティングについてのお話のなかで、「実践でしか学べないこともある」とおっしゃっていましたが、若いころ、経験不足であるがゆえに犯してしまった失敗はありますか。

細島:組織を引っ張っていく身として「人とは何たるか」を理解していなかったこと、さらには根拠のない自信を持っていたこともあり、人と衝突することがとても多かった。これが失敗体験ですね。

いま思えば、当時の自分は人の感情を無視して、正しいと思うことをどんどん推し進めようとしていました。でも、組織として仕事をする以上、まわりの人とある程度のコンセンサスをとることが必要です。それに、人間の感情は複雑なもの。頭では正しいと分かっていても、感情的に頷きたくないということだってあります。

そのあたりを省いて、自分ひとりの考えで突っ走しろうとしたために、私が関わるプロジェクトがことごとく「火を噴く」というような状態でした。当時の上司からは、「言い方が悪いよ」とものすごく怒られたのを覚えています。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

細島:「仕事がつまらない」「毎日、同じようなことの繰り返しで、将来の見通しが立たない」「もっとお金をたくさんもらえるようになりたい」「独立したい」など、今の仕事に少しでも悩みを持っている方には、ぜひ本書を手にとっていただきたいですね。特に、今の仕事にやりがいを感じられないという方には参考になる部分が多いと思います。

ナンバー2を目指すことは、このまま嫌々仕事を続けるのではなく、いままでの仕事のやり方を変えることにつながります。つまり、本書に書かれていることを参考にして、実際に動くだけで、人生が変わっていくのです。

この本をきっかけに、読者の皆様が自らの目標を達成されることを願っております。
(新刊JP編集部)

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