浮気夫と相手女性に「お仕置きよ!」…いきすぎた報復は「名誉毀損」の恐れ

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2016年04月09日 11:42  弁護士ドットコム

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不倫をした夫とその相手に、罰を与えたい! 不倫をした以上、どんな嫌がらせでも我慢するべき! そう思うのは自然なことかもしれません。最初はちょっとした仕返しのつもりが、どんどんエスカレートしていくのが恨みという感情の恐ろしいところです。


既婚男性と不倫をした女性が、「不倫相手の妻の嫌がらせがどんどんエスカレートしています」と、弁護士ドットコムの法律相談に相談を寄せました。「職場や職場周囲への嫌がらせやクレーム、事実に反する噂話を流す、周囲の人間に言いふらす、私たちの行動を監視するなど嫌がらせがどんどんエスカレートしています」。


とくに困っているのは、職場へのチクリ。「彼と私双方の職場に『不倫している人間をどう処分するのか』と匿名の電話や封書がきております。『相当な処分をしなければ会社名ごと世間にさらす』とのことです」。相談を寄せた女性はシングルマザーで、子どもにも害が及ぶのではないかと心配しています。


不倫相手の妻の行動は、なんらかの罪にあたる可能性はあるのでしょうか? また、やめさせるためにどのような対応策がとれるのでしょうか。 齋藤 裕弁護士に話を聞きました。



 ●不倫を言いふらしたら「名誉毀損」の可能性



「不倫相手の妻が、不倫をしているという事実を不特定多数の人に伝える行為は名誉毀損にあたり、刑事罰あるいは損害賠償の対象となる可能性があります。


もっとも、名誉毀損も、公益目的により、公共の利害にかかわることについてされる場合には、法的な責任を問われない可能性があります。しかし、不倫をしている事実を人に伝える行為は、これらの条件を満たさず違法とされることが多いでしょう。


ご相談のようなケースに関連する裁判例として、東京地裁平成27年6月3日判決があります。


この事案では、妻が、夫の不貞相手の職場の上司に、不貞の事実を記載した文書を送りつけました。妻の行為について裁判所は、文書を受け取った上司から他の人に不倫の事実が伝わることが想定されたとして、名誉毀損を認め、妻に賠償責任を認めています。


このように、不倫の事実を不特定多数の人に言いふらすのではなく、特定の人にだけ伝えるような場合でも、事案によっては違法な名誉毀損が認められる可能性があるということです。


そのような名誉毀損を受けた場合の対処法としては、弁護士に依頼し、警告文を出してもらうなどの対応が考えられます」




【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:新潟合同法律事務所
事務所URL:http://www.niigatagoudou-lo.jp/


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