バックレ、仕事が合わない…自治体が「保護観察中」の少年採用、継続性に課題

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2016年04月14日 09:02  弁護士ドットコム

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鹿児島市は3月下旬、鹿児島地区保護司会と協定を結び、保護観察中の18〜19歳の少年少女を臨時職員として採用する取り組みを始めた。社会との接点や規則正しい生活リズムを身につけてもらい、次の職場での正規雇用につなげてもらう試みだ。


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鹿児島市では、保護司会が推薦した候補者を面接で選考。原則6カ月以内、最長1年間雇用する。給与はほかの臨時職員と同水準で、仕事内容は清掃やゴミ収集などが候補に上がっている。



ネットには「悪いことすると優遇される世の中」といった批判的な声もあるが、法務省によると、再犯や再非行防止に効果があるという。一方、同様の取り組みが全国で増える中、「受け入れが少ない」「雇用者が長続きしない」などの課題も浮き上がってきた。



●「無職」だと再処分率が50%を超える


保護観察中の少年少女の有期採用は、2010年に大阪府吹田市が始めたとされる。現在はおよそ40の自治体が取り組んでおり、国では法務省や厚生労働省が実施している。



取り組みの目的は、再犯・再非行を防止し、社会復帰を支援すること。犯罪白書によると、2014年に保護観察を終えた少年少女のうち、就職できた人に限ると再処分率は約14%。一方、無職の人の場合は半数を超える約56%だった。



全国の自治体に導入を依頼している、法務省の担当者は次のように語る。



「無職のままでいると、再犯・再非行につながることが多い。就労の経験を糧に、新しい就職先を見つけてもらえればと思っています。また、彼らをどう指導していくかについては、まだノウハウがありません。国や自治体でノウハウを積み上げ、その内容を民間企業に還元できればと考えています」



●「継続性」の課題にどう向き合うか


こうした社会的意義がある一方で、課題も見えてきた。



「総数は把握していませんが、採用は1人というところが多いと聞きます。また、制度はあっても、常に雇っているわけではないようです」



全国に先駆けて雇用を始めた吹田市でも、保護司会からの推薦がなくなり、採用は2013年4月から途絶えている。それまでに7人を受け入れたが、うち4人は予定期間が終わる前に辞めてしまったという。



「定着率が課題になりました。うちはPCを使ったデスクワークや事務補助が中心。それを8時間弱続けることが、就労者に合っていたのかどうか…」(吹田市人事室)



このような事例は珍しくないようだ。法務省の担当者は、「『雇用された人が急に来なくなる』という話は聞きます。また、導入したものの『どんな仕事を任せていいか分からない』という自治体もあります」と打ち明ける。結果として、保護観察の対象者に不慣れなコピーや書類整理など事務補助を任せる自治体が多く、ミスマッチが起きているのだという。



鹿児島市では、これらの課題も踏まえ、より雇用者の適性にあった仕事内容を検討しているという。市の人事課は、



「保護司と相談して、『事務補助ではなく、ゴミ収集などの労務職場(技能職場)で採用した方が働きやすいのでは』と考えています。ただ、本人との面談を通して、具体的な仕事や勤務時間を決めます」


と語る。一方で、「まだ雇用そのものはしてないので、仕事を続けてもらえるかどうか、人数をどれだけ受け入れられるかなど、見通しが分からない部分が多い」とも話していた。


(弁護士ドットコムニュース)


このニュースに関するつぶやき

  • 無職だから再犯するんじゃなくて 再犯するようなやつだから仕事が続かなくて無職になるんだよ こういうゴミはどんな仕事もすぐに辞めて犯罪と言う安易な道に逃げる
    • イイネ!16
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